依然語りたい真女神転生1の世界〜上野のラドンと黄金のリンゴ【Part9】
今までにやったゲームで己を語るシリーズ。todo(@Explorers_todo)でございます。
真・女神転生1のストーリーを思い出しつつ好き勝手語っているのですが、如何せん語りたいことが多すぎて長文を連発しています。TDLのエキドナに会いにいくため、池袋方面を抜けて上野を通ります。こちらのルートは結構長いのでイベントが多かったりします。
このページでは上野について好き勝手語ります。
最初の吉祥寺編
池袋方面
悪魔全書(まとめ)を見るならこちら。
今回もやっぱり長いです。
上野はガイア教の総本山
スガモプリズンを脱出した主人公は、四天王の館を抜けて上野に向かうことになります。もし品川で四門の玉を手に入れていればここで四天王と戦うこともできます。上野方面に抜ける館で待ち受けるのは毘沙門天。他の四天王と比べても格段に強いので後回しにした方が賢明ですが、ハマ系の魔法を連打して一撃を狙ってみるのも面白いかもしれません。
上野の街の近くには不忍池があります。真・女神転生1ではフィールド上で存在を確認できる程度ですが、真・女神転生4と4Fでは序盤のダンジョンになっています。
上野はガイア教の総本山で、敬虔なガイア教徒であれば洗礼を受けることができます。ここまでのストーリーの中で、ゴトウに協力したり、ヤマに協力したりと、カオス寄りの行動を積み重ねることで極端に振り切れていれば洗礼のラインまでたどり着けると思います。
ちなみに洗礼についてはメシア教でも同様にメシア教、ガイア教の両方で洗礼があるというのが面白いですね。
個人的な想像ですが、ガイア教のテーマソングは大地讃頌であって欲しいところ。中学校時代に大地讃頌をみんなで合唱していたのですが、今振り返ると歌詞がガイア教っぽいなと。ガイア教は「文明の発展に囚われず、母なる大地と共に生きる」というのが教義になっています。
メガテン世界ではガイア教は元々日本にもあったようなので、日本で作られた曲をテーマソングにしていても不思議ではありません。歌詞があまりにもガイア教すぎるので、むしろガイア教徒が作った曲がたまたま学校現場でも取り入れられたと考えても良いかもしれません。(冗談ですよ?)
カテドラルの乗っ取り計画
上野にいるガイア教徒からは、一部のガイア教徒がカテドラルを乗っ取ろうとしていることを教えてもらえます。カテドラルが完成した場合、ロウ勢力はそこで神を迎え、千年王国の礎とするつもりでいます。カオス勢力はこれを防ぎたいのです。メシア教の理想とする千年王国は、選ばれた民しか生きることができません。カオス勢力の神々やガイア教の人々はもちろん排除対象になってしまう側なので、「いやいやふざけんな、俺たちも生きていたいんだ」と文句を言っている訳です。
カオス勢力に加わっている神様たちは、元々各地で神として崇められていたのに、別の民族から「悪魔だ!」と貶められてしまった神々が中心となっています。元々そこに在るだけだったのに、人が神だ悪魔だと勝手に言い始めるんですからたまったもんじゃないですね。大地本来のあるがままを受け入れて生きていく、というガイア教の考えと結びついて、一大勢力として台頭したのでした。
主人公たちが上野にたどり着いた時点で「カテドラルがもうすぐ完成する」との情報が出るので、カオス勢力にとっては結構喫緊の問題だったりします。
閣下……じゃなくてルイ・サイファーさんこんにちは
上野での主なイベントは、ルイ・サイファーとの出会い、黄金のリンゴの入手です。
ルイ・サイファーは「もう名前隠す気ないでしょ閣下」と思わず突っ込みたくなるあのお方が人間に化けている時の姿です。上野では「君に会いたいと言っている人を連れてきた」とある人を連れてきます。
その人はゆりこでした。これまで謎の女の人だったゆりこの正体が、ここで「リリス」であることがわかります。リリスは「アダムとイブ」で有名なアダムの最初の妻だとする説があり、このゲームでも「私があなたのパートナーとなるはずだったのに」とその点に触れています。「でもあなたはその女を選んだ」というセリフから、ヒロインはイブの立場、あるいはその転生体なのでしょうか。
「私のものにならないならいっそこの手で!」と悪魔の姿に戻って襲い掛かろうとしますが、「ああ……やっぱりあなたとは戦えない……さようなら」と去っていきます。最後のしおらしい感じを最初に見せてくれていたらプレイヤーの半分はあなたを選んだと思います。
ちなみに「ゆりこ」という名前は、リリスからとった偽名です。リリスの綴りは「Lilith」ですが、似ている「Lily(ゆりの花)」からゆりこと名付けたようです。
去っていったゆりこの背を見ながら、閣下……じゃなくてルイ・サイファーは「おやおや、こんなことになるとは。彼女にはもう一度チャンスを与えよう」と楽しそうに去っていきます。
黄金のリンゴ
カオス勢力の有力者であるエキドナはTDL(東京デスティニーランド)にいます。(なんて危ない名前だ)
エキドナに会うためにTDLに行きたいのですが、TDLへ渡るための橋には正気を失った悪魔が道を塞いでいます。
黄金のリンゴがあればどんな悪魔でも正気に戻すことができますが、ガイア教徒が黄金のリンゴを奪って上野に持ってきてしまいました。そのガイア教徒は上野の地下で飼っている悪魔の餌にしたいそうです。(この話は品川のメシア教徒から聞けます)
上野の地下トンネルには邪龍ラドンが住んでいます。ここまでの情報を合わせると、主人公たちは黄金のリンゴを手に入れるためラドンを倒さなければなりません。主人公たちに対しては何もしていないラドンを狩るのはちょっとかわいそうですが、ガイア教徒以外の人にとっては恐怖の対象なので、弱肉強食を盾に涙を飲んでもらいましょう(カオス的思想)
戦い自体は苦労した記憶がないのですが、ラドンに行くまでがめんどくさかった記憶があります。ダメージゾーンとダークゾーンがあったような……?
ラドンはギリシャ神話に出てくる100の頭を持つ龍で、黄金の林檎園を守っていました。ヘラクレスはその十二の功業の11番目として黄金のリンゴを盗み出すことを命じられています。ヘラクレスは見事ラドンを倒し、リンゴを手に入れました。盗み出すというよりも完全に強奪していますね。
ギリシャ神話の中で黄金のリンゴは不死の効果をもたらすものとして描かれており、「正気に戻す」という点は描かれていません。しかし、上野でリリスに会ったことを考えると、リリスと関わりのあるアダムが食べた知恵の実をリンゴと捉えることで、なぜ正気に戻るのかを紐解くヒントになります。アダムとイブは蛇(サタン、あるいはサタンと同一視されるルシファー)に唆され、エデンにあった知恵の実を食べたことで善悪の区別がつく状態になりました。これは自然のままである無垢の状態からの脱却です。転じて、正気を失っている状態から分別のつく状態になる効果をもたらすものがリンゴであると考えることができます。
そうすると、元々は品川でメシア教徒が黄金のリンゴを持っていたことも意味がありそうですね。原罪の象徴ですから。
この黄金のリンゴのイベントはゲームとしては単なるフラグイベントですが、その背景を知ると様々な神話のモチーフが盛り込まれていて、うまくピースがはまっていく感覚が生まれるイベントです。複数の神話が折り重なる点はまさに女神転生の醍醐味です。
黄金のリンゴとケルベロス
浅草にある四天王の館から神田に通り抜けることができます。神田方面に出ると、TDLへの橋は目の前に。
この橋を通せんぼしているのは魔獣ケルベロス。ケルベロスといえばこれまたギリシャ神話でヘラクレスの十二の功業の12番目で登場します。ヘラクレスに出されたミッションはケルベロスの生け捕りでした。
ギリシャ神話でのケルベロスは地獄の入り口を守る番犬でした。それをモチーフにしてメガテンではTDLの入り口を守っているようです。あ、ケルベロスのおかんはエキドナなのでその繋がりもありますね。
黄金のリンゴを持っていない状態では正気を失っているので「ここを通すわけにはいかないな」と本能に忠実に橋を守っているのですが、黄金のリンゴを持っていくことで正気を取り戻します。ここで序盤の行動によってケルベロスの行動が変わります。
主人公が飼っていたパスカルを悪魔合体させてケルベロスにしていた場合、正気を取り戻したケルベロスは主人公の仲魔になります。吉祥寺のエコービルで超人ドウマンとの戦いの後、ターミナルに消えていったケルベロスがここで仲魔になる熱い展開です。このケースだと、ケルベロスが正気を失っていた理由として魔界を彷徨っていたから、というストーリーも生まれています。
一方、パスカルを悪魔合体させなかった場合、正気を取り戻したケルベロスは主人公と全然関わりのないケルベロスになります。「俺は何をしていたんだ……あんたたちが助けてくれたのか。ありがとよ!」とクールに去っていきます。特に仲魔になったりはしないので、序盤でケルベロスを作っておいた方が感動があります。
ちなみにメガCD版の場合、序盤でパスカルを悪魔合体させるとケルベロスではなく魔獣パスカルになるらしいですね。TDLの橋を塞いでいるのもパスカルで、正気に戻ると再び魔獣パスカルが仲魔になるとか。ケルベロスの上位互換なのでケルベロスの株が下がってしまって切なさ乱れ打ち。
PCエンジン版だと種族名がイヌのパスカルが仲魔になるようなので、真・女神転生1を極める場合はバージョンごとの違いを追いかけてみるのも良いかも。
上野編まとめ
上野ではルイ・サイファーとの邂逅、黄金のリンゴの入手イベントがあります。どちらもゲーム外で神話の知識があるとニヤリが発生する場所でもあるので、これをきっかけにいろいろと神話を調べてみるとより深く楽しむことができると思います。
ガイア教側の話を聞くことも大切で、メシア教の話と比較しながら聞くことでお互いの目指すところが見えてきます。
といったところでまた長くなりそうなのでこの辺で。
では、ゆっくりとおやすみください。おやすみの間、悪魔に肉体を乗っ取られぬようお気をつけて……。
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