ゲーム内の要素(ストーリー、キャラ、操作方法)の見せ場を意識しよう

ゲーム内の要素(ストーリー、キャラ、操作方法)の見せ場を意識しよう

ゴールデンウィークの頃に公式のジャンプ+で61巻まで無料公開されていたので、ゲームを作るかたわらONE PIECEを読み耽っていました。

大学生の頃だったか、スリラーバーグのあたりまで読んで止まっていたので、61巻で2年後の姿を見るところまで一気に読み進めてしまいました。

「ONE PIECEが好きです!」と言うと「ニワカかこいつ」扱いされがちですが、話の作りや伏線の張り方は非常に練られていて勉強になります。

ワンピースで特徴的なのが、主人公のルフィだけではなく、仲間たちにもちゃんと見せ場があること。少年漫画では各キャラクターに見せ場を用意するのはテンプレートに沿った展開でもありますが、なんだかんだ各キャラクターにスポットライトが当たるのは嬉しいです。

このワンピースの展開を例に、ゲーム内でキャラクターにスポットライトを当てる点についても意識してみましょう。また、キャラクターに限らず、ゲーム内の要素として用意されている各アクションについてもスポットライトを当ててみよう、というのも意識してみるといいかもしれません。

 

 

ワンピースを例に

子供の頃は週刊連載だと「早くルフィ出てこないかな」なんて思っていましたが、一気見すると仲間たちの活躍がちゃんと描かれているのが嬉しいところ。

ゾロだったら剣豪タイプの敵と戦い、サンジは格闘タイプと戦ったりウォーターセブン編では頭も使っていました。

物理タイプが苦手なウソップは特殊タイプの敵に強かったりとキャラの特徴に合わせた見せ場が用意されています。ネガティブの状態異常にして敵の戦意を喪失させるタイプの敵キャラに対しては、ルフィもゾロもサンジも軒並みやられてしまっていたのですが、ウソップだけは「常にネガティブだから効かない」というまさかの耐性持ちで無事勝利を収めたことがありました。

主人公だけが目立つ作品は厚みがないものになってしまいがちで、仲間の活躍があってこそ心に刺さる作品になります。

 

ストーリーの厚みを数値化する

このストーリーの厚みを試しに数値化してみましょう。

例えば登場人物がひとりの時に活躍を描写する労力や尺を10とします。この労力を二人の登場人物に振り分けると5ずつの労力になります。

作品の厚みは、それぞれの要素が絡み合って表現されることから相乗効果によって引き出されるので、

5 + 5 = 10

ではなく

5 * 5 = 25

の厚みになります。

3人の登場人物に振り分けるとしたら、主人公だけが目立つと、

8 * 1 * 1 = 8

それぞれに見せ場を用意すると、

4 * 3 * 3 = 36

のように作品としての厚みが大きく増します。

最大値は3.3ずつ掛けた時ですが、ユーザーが主人公に感情移入することを考えると、ほんのちょっと主人公に尺を割いておくとバランスが良いと思います。特に主人公は物語の開始からずっとユーザーと行動を共にしているので、意識していなくともついつい主人公を応援したくなってしまいますからね。

 

登場人物の人数と厚み

ここでちょっとこのモデルを使って、登場人物の数が増えるとどこまで厚みが増すのか考えてみましょうか。

上の例と同じように振り分けられる尺(ゲーム内の時間の割合)の合計を10として計算してみます。それぞれのキャラクターが等しく活躍したときに全体としての効果値はどうなるでしょうか。

登場人物の人数 各キャラクターの見せ場の尺 効果値(作品の厚み)
1 10 10
2 5 25
3 約3.33 約37.04
4 2.5 39.0625
5 2 32

人数が増えれば作品の厚みが増しそうな気もしますが、同じ労力の場合は5人まで増えると4人より減ってしまいます。

念のため10人まで計算してみましょうか。

登場人物の人数 各キャラクターの見せ場の尺 効果値(作品の厚み)
6 約1.67 約21.43
7 約1.34 約12.14
8 1.25 約5.96
9 約1.11 約2.58
10 1 1

10人までいくと1ですよ、1。かけた労力に見合わない効果になってしまいました。

このモデルはあくまで尺が一定の場合であって、尺を増やせばもちろん厚みが指数関数的に増加します。例えば尺を20まで増やせるのであれば、登場人物が7人の時に効果値が1554まで増加するのでこの人数が最適になります。

尺が決まっていて伸ばせないのなら登場人物は控えめに、尺を伸ばせるのであればある程度多くの登場人物に見せ場を作っておくのが良さそうです。

 

ストーリー以外にも厚みの考えを適用

この見せ場の考え方はストーリーに加えて、ゲーム内の要素の見せ場についても応用できます。

例えばプレイヤーの操作として、

  • チャージショット
  • ダッシュ
  • 特殊武器に対応した仕掛け
  • 壁蹴り

があった時、それぞれのアクション単体、あるいは組み合わせた時に隠されたアイテムが手に入るようにすると、アクションについて見せ場を用意することができます。

例として挙げたアクションでなんのゲームか分かったかと思いますが、ロックマンXをサンプルとして要素の見せ場を考えてみます。

ロックマンXシリーズ、特にスーパーファミコンで発売されたX1からX3までは、ステージに隠されたアイテムを見つける楽しさが大きいです。

エックスのライフを増加させるライフアップ、攻撃力や防御力を上げるパーツ、体力を回復させることができるサブタンクなど、ゲームを有利にするためのアイテムがステージ内に隠されているのですが、これらのアイテムを回収するためには、アクションを組み合わせたり、他のパーツが必要だったりします。

X1だと、チャージショットができるようになるアームパーツを手に入れるためには、硬いブロックを壊すためのヘッドパーツとダッシュジャンプが必要になります。アイテムを事前に入手しておきつつ、プレイヤーが操作を組み合わせてアクションを行う必要があります。

X2なら敵キャラをクリスタルで固められる特殊武器を入手しておいてから、その武器を使って足場を作ってから壁を登っていった先にライフアップがある、なんてのもあります。

特殊武器が敵キャラの弱点になっているだけではなくて、ステージ内で見せ場を持ってるのもプレイヤーにとって嬉しい部分だと思います。ステージを進んでボスを倒す、という目的に加えて、アクションや特殊武器を駆使してステージ内を探索する、という目的が生まれることで、楽しみ方が増えているんです。

 

もうひとつの例

他にもモンスターを魔法陣で召喚してダンジョンを登っていくゲームだったらお遊び要素レベルで攻撃能力のないモンスターが実はラスボスを倒すために必要だったり、なんてこともできます。

このゲームはそのままずばりWizardry4のことで、Wizardry1のラスボスであるワードナが主人公になっていて、かつて冒険者にやられたけど100年経ってダンジョンの奥深くで復活したから地上を目指す、という普通のRPGとは逆の立場で遊ぶゲームだったりします。ダンジョンの中では魔法陣を使ってモンスターを召喚して仲魔にしながら進んでいく、他のWizardryとは異なった要素がポイントです。

あるルートでは無敵の忍者と戦うことになります。この忍者は主人公が何をしてもダメージを与えられず、ターン経過で主人公を縛り上げ、神様への供物として捧げてゲームオーバー、なんていう理不尽な忍者です。

しかしこの忍者にはひとつだけ弱点が隠されていて、ほぼ戦闘能力が0のあるモンスターがいると一撃で仕留めてくれます。

こんな感じで「このキャラいる意味あるのか?」なんて思われがちなキャラクターにも意味を持たせることで、要素の厚み(この例だと遊びに近いです)が生まれています。

単純にゲーム内の戦闘だけでバランスを考えていると、強さに差をつけるだけのキャラクターを作ってしまいがちですが、ストーリーで意味を持たせることもできるんですね。

 

ストーリー、キャラクター、操作方法それぞれで見せ場がある

このようにゲームで実装した要素についても見せ場を作っておくと厚みが出てきます。

厚みが増せばあなたのゲームをより好きになってもらえるので、キャラクターに限らず、ゲーム内で行うことができるアクションについても見せ場について意識してみましょう。

 

     

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