【ストーリー作り】キャラクターの行動理念を大切にしよう

【ストーリー作り】キャラクターの行動理念を大切にしよう

RPGやノベルゲームなど、キャラクターが登場登場して、そのストーリーが主軸になるゲームについて。主にゲームの観点からストーリー作りについて考えてみます。

キャラクターの行動には何かしらの理由があり、多くの場合、そのキャラクターの信念に基づいて行動しています。

例えば「正義のために生きる」と決めているキャラクターであれば、そのキャラクターが信じる正義に沿って行動するはずです。「人を助ける」という信念があれば、困っている人を放っておかないことでしょう。

プレイヤーの立場からしても、キャラクターがなぜそのように動いたのかを理解できるとゲームに熱中できます。逆に「なんでこんなことするの?」というケースだとそのキャラクターを理解できず、なんだか不快感が残ってしまうことも。

このようにキャラクターの行動理念や信念を考えることはゲームをスムーズに遊んでもらうために大切です。

 

 

キャラクターの行動理念を大切に

キャラクターには行動理念を持たせておきましょう。人間の行動は、なんらかの行動理念によって生まれるためです。

私たちの行動は理念によって生み出されています。

  • 人の役に立ちたい → 困っている人を助ける
  • 正義のために生きたい → ヒーローになる
  • 自分の思い描いた世界を表現したい → ゲームを作る

といったように理念に沿って行動しています。生き方を左右するような大きな理念に基づいて行動するというのが大切で、理念に沿ってない行動を見ると、「このキャラクターの行動、チグハグじゃない?」とちょっと不快感が残ってしまうんですよね。

例えば「正義のために生きる」と口では言いながら、困っている人を見捨ててしまっていたら「それは違うだろ」と突っ込みたくなりますよね。

 

行動理念から外れた行動は理由を説明

行動理念から外れた行動をするのは避けたいところです。ただし、ストーリーの展開によってあとで理由が明かされるのはアリだと思います。

例えば情に厚いはずの仲間が裏切って敵のもとに行ったとしましょう。その瞬間はキャラクターの行動理念から外れた行動に見えますが、実はたったひとりの肉親である弟を人質に取られていたから敵のもとに向かった、というように、ストーリーの中で説明されていればむしろカタルシスとして有効です。

あるいは、本人の意思ではなく敵に操られてしまったために裏切った、ということもあるかもしれません。FF4では主人公の親友であるはずのカインがゴルベーザに操られてクリスタルを渡してしまう場面がありました。あれは主人公の親友でありながら脚光を浴びていく姿にコンプレックスを抱いていたのが利用されてしまったものでした。

これらのようになんからの理由があって行動理念から外れた行動をしていると、作者側の都合で「なんとなく」動いているキャラクターに映ってしまいます。これはプレイヤー側からすると見ていて辛いので、行動理念は設定しておいたほうが良いです。

 

厨二の頃の失敗

恥ずかしい話ですが、中2の頃に作っていたRPGでは行動理念から外れた行動をするキャラクターというのをよくやっちゃっていました。場面ごとに人格入れ替わってんのか?ってくらいにブレているキャラクターを作っていたんです。

というか「行動理念」という考え方自体がなかったんですよね。中学生の頃は、ちょうどアイデンティティを確立し始める時期で、いろいろな考えに触れてそれを自分の中に取り入れてみようとする時期です。

この時の自分は「触れたものを取り入れる」というのが行動理念になっていたので、クラスで話した友達の性格や、読んだ本、遊んだゲームのキャラクターなど、そうしたところから自分の作品に引っ張ってきていました。

ゲームで取捨選択するという考えもまだなかったので、そのゲームを作ってる期間に触れたものは全て取り入れちゃっていたんですね。結果として作者の都合によってキャラクターが振り回され、行動理念から外れた(あるいは行動理念が読み取れない)キャラクターになってしまっていました。

これを起こさないようにするには行動理念を考えておくのが大切です。そうすれば軸に沿った考えや行動が表現できますからね。

 

理念が変わるなら思考の過程を

ストーリーの過程で行動理念が変容することによってキャラクターの成長を描きたい場合は、そのキャラクターが悩みながら行動理念を変えていく様子を描くべきです。

なんの理由もなく行動理念を変えるのは不自然なので、ちょっとずつ変わっていく様子を語るようにしましょう。

人間には恒常性を維持するためのホメオスタシスが働いています。これは体の機能として体温を一定に保ったり、体重をなるべく一定に保ったりする機能のことです。

例えばちょっとぽっちゃりしている人が急激なダイエットをしたとしましょう。この時、人間の体は「ぽっちゃりしている状態が正常」と認識しているので、この状態に戻そうとしてリバウンドしてしまうわけです。なのでダイエットはちょっとずつ進めなさい、と言われているんですね。

実は脳もこれと同じような働きをしている節があります。行動理念に対してホメオスタシスが働いて、何もしなければその行動理念はそのまま維持されます。

行動理念が変わるのは、外部からの刺激、つまり他の登場人物との関わりや、何かを得たり失ったりした時です。こうしたイベントがない場合は維持されるのが普通のことですし、ゲームを遊んでいるプレイヤーにとっても自然な振る舞いに映ります。

外部からの刺激があり、それを受けてそのキャラクターの心情が描かれ、思考の過程が伝わってくることで、変容した行動理念が受け入れられていきます。

 

行動理念を歴史に学ぶ

行動理念については、歴史から学ぶのもひとつの方法です。

例えば昨日は大河ドラマの「麒麟がくる」を見ていたのですが、戦国時代が舞台だからか登場人物たちが別の登場人物の思惑によって命を狙われるという場面がよく出てきます。

こうした行動には必ず理由があって、「自分の命を後ろから狙っているから」とか、「権力を手にするため」とものがあります。

さらに考えを読み解いていくと、例えば斎藤道三の息子である斎藤義龍は「武士として正当な源氏の流れを汲んでいることを示す」という思想があり、斎藤道三と対峙しました。一方で麒麟がくるのドラマの中で斎藤道三は「戦をすることなく隣国を手に入れてこの国を豊かにする」といった思想を持っているため、武家による武力だけに頼った支配は望んでいませんでした。

ドラマの場合は何かしらの行動理念があり、それに基づいて行動している姿が描かれています。

リアルな人間だったら気分によって行動が変わることもありますが、ゲームなどの物語ではそれが意図した表現でない限りは一貫した行動が望ましいです。

歴史の教科書ではイベントが列挙されていますが、そのイベントが発生した理由を登場人物の行動理念と照らし合わせて考えるとゲーム作りにも活かせます。歴史上のイベントをプロットとして、登場人物の行動理念を自分で味付けするのも良いトレーニングになります。

 

軸を考えるトレーニング

行動理念の方向性を考えるトレーニングとしては、メガテンの属性分けのようにLaw-Chaos、Light- Darkの2軸を使うと考えやすいです。私がメガテニストだからというのもありますが、考えをまとめるのに便利な指標だと思います。

 

Law-Chaosの軸

Lawは規律を大切にする考え方、Chaosは自由を重んじる考え方です。いわゆる道徳的な考え方としてはLawに近いかもしれませんが、規律で縛られすぎると新たなものが生まれる余地がなくなってしまいます。

一方でChaosの考え方は他の誰かに縛られることを嫌い自由に生きる振る舞いです。新たな発想が生まれることも多いですが、どちらかというと規律が軽んじられてまとまりは生まれません。

メガテン的に考えると陣営の分類にもなりますが、キャラクターの行動理念を考えるときには方向性を決めるのに役立ちます。この観点だとLawとChaosの間にいるNeutralはキャラクターの行動理念を考えにくいかもしれませんね。

 

Light-Darkの軸

この軸は善か悪かの軸でわかりやすいと思います。Lightが善で、Darkは悪です。

Lightはどちらかというと他の人のためになる行動を選び、Darkは自分を優先する結果他者を蔑ろにする行動を選びがちです。

この理解を助ける例えが、昔発売されたゲームの説明書に載っていました。確かWizardryだったでしょうか。

『重い荷物を持って横断歩道を渡っている老人を見かけた。君はどうする?』

という問いかけに対し、以下の3つの選択肢がありました。

  1. 老人の荷物を持ち、横断歩道を渡るのを助ける
  2. 無視する
  3. 老人の荷物を奪う

1を選ぶのはLight、2を選ぶのはLightとDarkの中間のNeutral、3を選ぶのはDarkとなっています。

Darkのキャラクターを登場させるのは主に敵キャラ側になるかもしれません。

 

軸を合わせる

X軸とY軸のように軸を組み合わせて考えるとよりキャラクターの行動理念をイメージしやすくなります。例えばLaw-Lightだと人のために規律を大切にするキャラクターになるでしょうし、Chaos-Darkなら他の人など知ったことか! 俺は俺のやりたいようにやるのだ! と魔王のような振る舞いになるでしょう。

面白いのはLaw-Darkでしょうか。規律を大切にする点は道徳的なように感じますが、その規律はこのキャラクターが「俺がルールだ!」と他の人にも押し付けています。自分の設定したルールを守らせる、守らなかったら厳しい罰を与える、という点で邪神のような考え方です。

対極にいるChaos-Lightは、人のためになることを自由な発想で考えるタイプのキャラクターになるかもしれません。いわゆるルール(組織内の決まりなど)は破るかもしれませんが、その行動の先には人のためになることを考えているかもしれません。

このように2次元的に考えていくと、キャラクターの行動理念をイメージしやすくなります。Law-Chaosといった言葉に囚われず、自分の言葉で行動理念を説明してみると、よりあなたのキャラクターとしての魅力が高まっていきます。

 

まとめ

このページでは、RPGやノベルゲームなど、キャラクターが登場登場して、そのストーリーが主軸になるゲームについて行動理念の大切さを解説しました。

登場人物となるキャラクターたちには行動理念を設定しておくことで、一貫した行動を取れるようになります。この一貫した行動はゲームのプレイヤーがキャラクターを理解し、親近感を抱くためにも大切です。

現実世界に生きている私たちは気分によって行動が変わったり、行動理念も日々の生活の中で変わっていきますが、その過程を描くのもひとつの方法です。

ぜひあなたの魅力的なキャラクターを表現してみてください。

 

     

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