【ゲーム作り】いち表現としての地位を確立したドット絵

【ゲーム作り】いち表現としての地位を確立したドット絵

ドット絵といえばファミコンのゲームの表現としておなじみです。

……もうファミコンの実機に触ったことのある人はどんどん少なくなっているかもしれませんね。

今は3DSやSwitchでバーチャルコンソールを使うことができますし、ファミコンミニやスーパーファミコンミニを買う方法もあります。

さて、これらのゲームで共通しているのは、ゲームの世界を表現するのにドット絵が使われていること。

今のように3Dモデルをゴリゴリ動かして画面を描画するなんてことはできませんでしたから、キャラクターをドットに置き換えて表現していた訳です。

例えばキャラクターについてであれば、「そのキャラクターたらしめている要素はなにか?」と必要なエッセンスを記号化して、その情報を16 * 16しかないキャンバスで伝えようと頭を捻ったのがドット絵でした。

本質の見極めができないと伝わるドット絵が描けないので、実は難しい表現ともいえます。

 

 

出発点はプラットフォームの制約

ドット絵は言ってしまえばプラットフォームの制約を思いっきり受けての表現でした。フィールドを歩く1キャラとして使えるドット数は16 * 16または16 * 32のように今からすればめっちゃ少ない数字です。今例えばキャラクターの画像を用意するなら、512 * 512とか、イラストがメインなら1024 * 1024くらいの大きさまで使っちゃうかもしれませんから、比較するといかに制約が大きいか感じていただけると思います。

容量の面でも制約がありました。ファミコンのドラクエ1は64KBの容量だった、というのは有名な話ですが、ここに収まる範囲で画像リソースを準備しないといけないので自然と画像自体のサイズを小さくする必要があったんですね。ファミコン後期になれば4メガビット=512KBくらいまで使えるようになったので、ゲーム自体のボリュームや使われる画像の大きさも増えていきました。

ゲームの容量のうち大きな割合を占めるのは画像ですから、画像を小さくすればその分ゲーム自体の容量も減ることになります。Unityでゲームをビルドすると、画像が占める容量の大きさにびっくりしますからね。

こうした制約があって、ドットを並べてキャラクターを表現するドット絵が生まれました。そして2020年の今となってはアートのひとつとして認知されるまでになりました。

 

ドット絵アートの例

Twitterでは「#pixelart」というタグでドット絵をアートとして投稿している人がいます。単純に1枚の絵として表現している人もいれば、GIFとして動く絵にしている人もいます。こうした画像はちょっと懐かしい気分になったりして、ついつい眺めてしまうんですよね。

また、ドット絵風の表現を3Dに持ってくるボクセルアートという表現も生まれました。画像として表示する最小単位がピクセルなのに対して、立体として表示する四角い箱の最小単位をボクセルと呼んでいます。

ボクセルアートに関しては以下の記事もご参考までに。

 

ノリでニキシー管を作ったこともありました。

 

何かの制約から生まれたものが、後の時代になって一定の地位を確立するのはロマンを感じますね。

 

ドット絵を始めるには?

ドット絵を始めるには特別な道具は必要なく、PCに元から入っているペイントソフトで始められます。Windowsならペイントを使うのが簡単で良いと思います。

Macだとドット絵を書くのにちょうど良いツールが見当たらなかったので、ちょっと頑張って『Aseprite(エースプライト)』を使うのがおすすめです。有料のツールですが、レイヤー機能やアニメーションの機能があるのでどっぷりドット絵の世界にはまれます。

私はゲーム用の素材を作る用途で使っていますが、趣味としてドット絵をやってみるならこれほど便利なツールは無いと思います。

スマホアプリでもドット絵ツールはたくさんあるので、好みのツールを探してみるのも良いでしょう。

また、最近発売された「あつまれどうぶつの森」ではゲーム内のオブジェクトに貼るテクスチャーにドット絵を描くことができる機能があるので、こちらに触れてみるのもいいですね。Twitterではどうぶつの森で描いたドット絵を自慢しあっている人もよく見かけました。

 

ドット絵は本質を見抜く

私はドット絵が専門では無いのですが、いちゲーム開発者の視点からドット絵について考えると、ドット絵は本質を見抜く芸術表現だと思っています。

というのは、使えるドットの数が少ないので、こちらが表現できる情報が少ないんですよね。なので、そのキャラクターを表現するのに必要な要素を抜き出して表現する必要があります。

本質とは、ある事象を説明する要素のうち、抜け落ちてしまうとその事象であると言えなくなるもののこと。キャラクターだったら、そのキャラクターであると判別する上で外せない要素のことです。

絵として表現する以上、絵の中でそのキャラクターを特徴付ける要素を表現しないといけません。例えば知的なキャラクターならメガネや頭の良さそうな帽子、本などの要素が必要かもしれません。また、肉体派のキャラクターなら、自分の筋肉を見せるために薄着になっているかもしれません。

これらの本質を見抜くことで、ドット絵という少ない情報の中でキャラクターの特徴を語ることができます。ドット絵を描く人(いわゆるドッター)の方々はこうした作業を自然とやっているんですね。

素人が「ドット絵なんて簡単じゃん!」って思っても意外と上手く描けないのはこの辺りにもポイントがあったりします。

 

まとめ

ゲーム開発者として2Dの表現がどのようにして生まれたのかを知るのは自分の表現の幅を広げる意味でも大切ですし、ドット絵の「本質を見極める」というポイントはゲームで表現の意図を伝えるためにも重要です。

なので、是非とも2Dと3Dの両方の表現に触れてみてください。そして、そこに込められている意図を理解するようにすると、自分の頭の中に考え方が染み渡っていきます。

 

     

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