ゲーム内の武器や魔法、アイテムの命名規則を大切に【ゲーム作り】

ゲーム内の武器や魔法、アイテムの命名規則を大切に【ゲーム作り】

新型コロナが最初に流行していた4月、5月頃、新型コロナウィルスへの感染予防策として、みんなが家から出ないように多くの出版社さんが漫画の無料公開等を行っていました。

そうした中でジャンプで連載していたBLEACHも48巻まで無料公開されていたので、ついつい寝る前に読み通してしまいました。

大学生の頃だったか、色々と出費がかさんだせいかだんだんとジャンプを買わなくなって、BLEACHもヴァイザードが出てきて織姫が虚圏に向かったところで止まっていました。そこからやっと破面編の結末をみることができたのでだいぶすっきりしました。

さて、BLEACHといえば厨二心をくすぐるネーミングが特徴的です。

人を襲う敵である虚<ホロウ>だったり、虚が使うかめはめ波みたいな虚閃<セロ>だったり、虚が使う高速移動の響転<ソニード>だったりと、ルビがやたらとかっこいいんですよね。

こうした名前の付け方にも一定の規則があり、BLEACHでは人間、死神、虚、滅却師など、様々な陣営があるのですが、この陣営ごとに命名規則が異なっています。

名前や使っている技を見ればどの陣営のキャラか分かる、というのは命名規則による恩恵ですね。こうした命名規則はゲーム開発にも生かしたいところです。

 

 

BLEACHの命名規則

命名規則をイメージするためのサンプルとしてBLEACHの例を見てみましょう。読んでない人は「なんのこっちゃ」かもしれませんが、オサレ感だけ感じてもらえればと。

 

人間や死神

人間や死神の武器や技は和風の名前になっています。

  • 天鎖斬月(てんさざんげつ)
  • 狒狒王蛇尾丸(ひひおうざびまる)
  • 千本桜景厳(せんぼんざくらかげよし)

漢字が並んでいてひらがなのルビが振ってあれば「死神だな」とわかります。

 

虚(ホロウ)

敵対する陣営の虚(ホロウ)が使う技や組織名はスペイン語になっています。

  • 虚閃(セロ)
  • 響転(ソニード)
  • 十刃(エスパーダ)

オサレ感がよく現れているのはこの虚(ホロウ)関連のネーミングです。グランレイ・セロ、セロ・オスキュラスなど、厨二病時代にこれ見てたら躊躇うことなくRPGツクール3の魔法として入れていたことでしょう。危なかった。

界隈では声に出して読みたい日本語として名高い「アーロニーロ・アルルエリ」「グリムジョー・ジャガージャック」などのキャラクターがいるのも虚(ホロウ)陣営の魅力です。

 

滅却師(クインシー)

虚(ホロウ)と戦う陣営ですが、死神と仲が悪い滅却師(クインシー)だとドイツ語の名前が使われます。

  • 魂を切り裂くもの(ゼーレ・シュナイダー)
  • 光の雨(リヒト・レーゲン)
  • 神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)

ゼーレ・シュナイダーのオサレ度が半端ないですね。ドイツ語をカタカナにすると結構硬い感じになるので、ここでもなんとなく滅却師(クインシー)だと分かるようになっています。

 

大事なのは名前だけで分かること

上で挙げたBLEACHの例では、名前を見ればどの陣営の用語なのかが大体分かります。このようにルールに沿ったネーミングをしておくと内容を把握する手助けになります。

開発の世界で「命名規則」というとプログラミングに関する命名規則がすぐに思い浮かびますが、ゲーム内の要素についても命名規則を考えておくと良いでしょう。

例えば主人公が使う武器についてだったら、キャラクターごとにモチーフとなる言語を変えるのも良いでしょう。主人公の武器は日本語、ヒロインの武器は英語といった形です。これはBLEACH式の命名規則ですね。

言語を変えるのが大変であれば、何らかのカテゴリーをモチーフにすると良いかもしれません。主人公の武器は名刀の名前、ヒロインの武器は花の名前、などです。この辺りはキャラクターに関連する要素を考えてみると良いかもしれません。

 

中途半端が一番恥ずかしい

どうせやるならBLEACHくらい全力で命名規則について考えてみるのが良いでしょう。中途半端に一部だけなんらかのルールが適用されている状態はユーザーにとっても恥ずかしいですし、開発者にとってももちろん恥ずかしい状態です。

作った本人が一番恥ずかしいのはありますが、開発者の「照れ」が見えることほどユーザーにとって辛いものはありません。

やるからには全力でやりましょう。

中途半端だと、一部だけ気合の入った名前になってしまって、「厨二病だ」と言われてしまうかもしれません。

 

命名規則の例

名前の中に共通した要素を持たせるのは何もないところから考えるのはちょっと大変かもしれません。なので、以下の観点からヒントを見出してもらえればと思います。

  • 言語を揃える
  • 共通する言葉をつける
  • リズムを揃える
  • 文字数を揃える
  • テーマを揃える

それぞれ補足説明を。

 

言語を揃える

これは今回紹介したBLEACH式で、関連するキャラクターや陣営で言語を揃えておく方法です。味方が使う技は日本語系の言葉、敵が使う技は英語系の言葉で揃えておくと共通している感じが出せます。

特に言語というのはその背景に文化があります。言語の違いは文化の違いですから、言語を変えることで別の文化圏にいる人だと印象付けられます。こうした陣営わけには便利です。

 

共通する言葉をつける

武器の名前だったら、その中に共通する言葉を付けておくと共通している印象が生まれます。主人公の得意武器が刀であれば、ナントカ刀、ホニャララ刀、といったように「刀」の文字を入れておくといった形です。

魔法の名前だったら、威力が上がるごとに同じ言葉をつけると分かりやすいです。魔法の名前が覚えにくいと言われがちな女神転生シリーズですが、実は法則に基づいた名前が付けられています。

例えば炎系の単体魔法ならアギ→アギラオ→アギダインと威力が上がっていきます。氷系の魔法ならブフ→ブフーラ→ブフダインのようになります。最上位魔法だと語尾に「ダイン」が共通してついているため、これが一番強いと分かりやすくなっています。

また、魔法のターゲットが全体化されると、頭に「マハ」がつきます。炎系の魔法ならマハラギ→マハラギオン→マハラギダインという感じ。共通して「マハ」がついていることで効果範囲がすぐに分かるようになっています。

 

リズムを揃える

キャラクターの技名などはリズムを揃えるという方法もあります。

ちょっといい例が思いつかないので汎用的な言葉で代用しますが、

  • アーボック
  • イーノック
  • バーダック
  • コーラック
  • ピーコック

のようにリズムを共通させる方法があります。ここでは「AーBッC」のリズムにしています。

これは口に出して読んでみたときに同じようなリズムになっていると共通する印象を持ってもらえます。

項目として挙げておいてなんですが、ここはちょっと難しいかもしれません。ラップとかHIP-HOPをよく聞いている人だと韻を踏む感覚でうまくリズムを作れるかもしれません。

リズムをつけるというのは古代中国の漢詩の頃からやっていることなので、命名規則で盛り込めるとかなりのパワーを発揮できます。

 

文字数を揃える

文字数を揃えておくと、共通性を見出せます。

上でちょっと挙げたメガテンの魔法の例だと、以下のように各属性の魔法が派生していきます。

炎: アギ→アギラオ→アギダイン

氷: ブフ→ブフーラ→ブフダイン

雷: ジオ→ジオンガ→ジオダイン

風: ガル→ガルーラ→ガルダイン

下位魔法は2文字、中位魔法は4文字、上位魔法は5文字と文字数が揃えられています。こうすることで、ひと目見ただけで威力がどれくらいか掴みやすくなっています。

文字数の規則と上で紹介した共通する文字の規則が使われていますね。

この辺りは以下の記事でも触れています。

 

テーマを揃える

武器の名前や魔法の名前、技の名前に共通したテーマを持たせる方法です。

例えば魚の名前、花の名前、動物の名前、四字熟語、ことわざ、慣用句など、なんらかのテーマに沿った名前にしておくと共通性を見出せます。

ブレイブリーデフォルトのジョブであるソードマスターでは、コマンドアビリティ(技)の名前として「海老で鯛を釣る」「馬の耳に念仏」といったようにことわざが使われていました。これは中世のような世界設定の中においてサムライの存在をより強調していました。

物理的に存在するものの名前でもいいですし、よく使われる言葉でもOKです。なんなら物理的には存在しないお化け関連のワードをテーマにしてみるのも良いかもしれません。

テーマを揃えるやり方はとても分かりやすく、ユーザーに意図が伝わりやすいので取り入れてみると良いでしょう。

 

まとめ

命名規則は分かりやすさが第一。名前を見るだけで、どのキャラクターの陣営か、どのキャラクターが使う武器か、どのキャラクターが使う魔法か、といったことが分かるようになっていると、ユーザーがゲームを遊ぶ時の負担が減ります。

今回はRPG寄りの説明をしましたが、他のジャンルであっても作中で使う名前のルールは統一しておくべきです。開発者が使いたい名前であることも大切ですが、ユーザーがこの名前を見たときにどう感じるかを考えることはもっと大切です。

 

     

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