厨二ノココロヲ抑制セヨ…武器や魔法のネーミング方針【ゲーム開発】
タイトルだけで首筋がゾワゾワしますね。漢字+カタカナの組み合わせって本当に厨二っぽくて書いていて手が震えてきそうです。中学生の頃はなぜあのような恥ずかしいことを平然とやっていたのでしょうか。
ゲームを作っていると、アイテムや武器、魔法やスキルなど、名前を考えないといけない場面が多々あります。特にRPGではアイテムの説明文なども用意するので、アイテムの名前+説明で雰囲気を出さないといけません。
こうした名前を考えるときに大切なのが、モチーフを決めること……も大切ですが、その前にこのゲームを誰が遊ぶのかを考えること、です。
ゲームを遊んでいる人が「ぽかーん」とならない名前を考えるのが大切です。言い換えれば、ゲームを遊んでいる人がノリについて来れる名前にしましょう。
この点についてちょっと考えてみましょうか。
あなたの得た知識
あなたも大人になる過程で、様々な本を読んだり、ゲームで遊んだりしたと思います。小説も読んだり、ビジネス書を読んだり、もしかしたら哲学書にも手を出したかもしれません。
ゲームだったら様々なジャンルのゲームを遊んだことでしょう。特に世界観やストーリーが重視されるRPGやノベルゲームなどをやったことがあれば、その世界観があなたの中にも入っているかもしれません。
今ではたくさんの知識を蓄えていると思いますが、あなたのゲームを遊ぶ人が同じだけの予備知識を備えているとは限りません。
友達と遊んだときの話ですが、作っているアプリのお披露目をしたことがありました。そのアプリは猫のRPGだったのですが、魔法の名前は割とゲームっぽいほんのり厨二な感じにしていました。
ゲームを遊んだことのある人と遊んだことのない人では反応が見事に分かれていて、ゲームに慣れている人はすんなり魔法を使って敵と戦っていましたが、慣れていない人では「名前が分かりにくい……」と戸惑っちゃったんです。
厨二レベルの調整
アイテムや魔法の名前をつける時は単純に英語にしたり、なにかモチーフとなる神話になぞらえたり、厨二ゴコロをフルバーストしてドイツ語にしたりと色々と「厨二レベル」の段階がありますが、ターゲットとなるユーザー層に合わせた名前にしましょう。
色々と知識がある人だと「あれも使いたい! これも使いたい!」と自分の知識を注ぎ込んでしまいがちですが、ゲームで表現する内容は相手に合わせるのが大切です。
相手のことを考えていないと、自分の世界だけに浸る子供っぽいゲーム、言ってしまえば厨二なゲームと呼ばれてしまうかも。
なので、ネーミングを考える時は
- ターゲット層の選定
- ゲームの世界観を決定
- 世界観にあったモチーフを選定
- ネーミング
の順番が良いと思います。
ゲームはプレイヤーありき、ですからね。
ターゲット層の選定
ゲームを作る際にはターゲットを誰にするかが大切です。厨二に目覚めた中学生をターゲットにするのか、厨二病が治りかけている高校生をターゲットにするのか、あるいはもう厨二の心を忘れてしまった大学生をターゲットにするのかで、どんなゲームを作るのかが変わっていきます。
ターゲットごとに持っている知識の差があるため、ゲームの世界を表現する際に必要になる前提知識の量も変わってきます。
例えば中学生であれば知識量はそう多くないので、難しい言葉を並べるのは得策ではありません。ちょうど英語を勉強することに慣れてきた頃でしょうから、ちょっと英語っぽい言葉を織り交ぜても大丈夫かな、くらいの感覚でしょうかね。知識がないことで逆にゲーム内の世界観もストレートに受け取ってくれる可能性もあります。
高校生になれば中学生に比べて知識も増えてきます。多少説明を省いて内容を伝えることもできるでしょう。この年代だと自分の持っている知識との違いを探してしまいがちになるので、ガッツリ厨二ワードで埋めるのは向いていないかもしれません。この辺りは私の印象なので、もしこの世代をターゲットにするならもう少し調査もした方が良いと思います。
大学生になると、専攻している学部によって持っている知識に差があるので、どの学部の大学生をターゲットにするかまで考えてもいいかもしれません。分野が違えばほとんど知識を持っていないことも考えられるため、結構細かく考えてみても良いかもしれません。
例えば文学部なら日本の小説に加えて海外の名著なども読んでいるかもしれないので、シェークスピアの作品をモチーフにした話をゲーム内に登場させるのもアリかもしれません。ゲーム内のキーアイテムの名前を関連させることもできます。
このようにゲームを遊ぶ人によって反応が変わるので、誰をターゲットにしているのかを明確にしましょう。
ゲームの世界観を決定
ターゲットを決めたらゲームの世界観を決定します。ストーリーのあるゲームを想定しているので世界観という言葉を使っています。
主人公のいる世界はどんな雰囲気の世界で、どんな国があって、それぞれの産業は、農業は、技術レベルは、人間以外の生き物もいるのか、魔法はあるのか、といったことを決めていきます。
ファンタジー度が高くなれば高くなるほど神話との親和性も上がっていきます。
逆にファンタジー度の低い、現代日本を舞台にしたゲームであれば、そこにファンタジー要素が入ってくることで厨二病っぽさが出てきます。
厨二病感のキーコンセプトは「他者と異なるアイデンティティの確立」なので、平和的な日常を送っている人がいる裏で、実は大きな戦いに巻き込まれている、なんて構造が厨二病の世界には必要です。ざっくりと言ってしまえば、「自分は特別なんだ」という感覚が味わえる作品は「厨二病」と親和性が高いんです。
例えば夜の公園に結界が張ってあって誰にも知られずに異能の力で戦っている、なんて要素は厨二病の最たるもので、「他の人と違う自分カッケー!」と特別感を刺激してくれます。
現実の世界とどれほど地続きなのか、「ファンタジー要素があってもおかしくない世界かどうか」という観点はこの後にモチーフを決めていく作業にも影響を与えます。
世界観にあったモチーフを選定
ゲームを作る際、完全にオリジナルの構造を作ることもありますが、神話やおとぎ話など、なんらかのモチーフを決めることがあります。
モチーフを決めておくメリットは、そのモチーフの知識をコンテキストとして使えること。
例えばギリシャ神話をモチーフにしたゲームがあったとします。ゲーム内にヘラクレスを模したキャラクターが出てきた場合は、「十二の功業が出てくるのでは」「冥界にいくのでは」と神話の知識を知っていれば構造を予想することができます。
プレイヤー側の予想と一致したストーリー展開になれば、「お、やっぱり!」とプレイヤー側も嬉しくなります。自分が知っている知識がどのように使われているのか探ろうとしますし、モチーフをうまく組み込めていれば「こういう表現もありなのか」とテンション上がりますからね。
「いい意味でプレイヤーの予想を裏切る」というのは開発者としてのテーマですが、これは提示したモチーフから単純に離れることを意味するのではなく、モチーフにした神話などに沿いつつも、新しい解釈によってストーリーに説得力を持たせて厚みをつける、くらいの意味だと思っています。
ネーミング
ここまできてやっと名前を決めていく段階に入ります。
先ほどのモチーフに沿った名前を決めていくのが鉄則で、世界観ガン無視の武器や魔法が出てきたら雰囲気が総崩れになってしまいます。
例えば、ファンタジーの世界で北欧神話をモチーフにしたゲームを作ったとします。この時、主人公たちがコルトパイソンとか高周波ブレードを使っていたら雰囲気ぶち壊しになりますよね。
こうした武器を登場させるのなら北欧神話のラグナロクのエピソードをアレンジして、実はあの最終戦争は神々の戦争ではなく人間たちの戦争だった、トールが使ったミョルニョルはミサイルだし、オーディンの使ったルーンはただのプログラミングしているときの文字で敵国のシステムを破壊する役目を持っていた、最終戦争の影響で大規模な地殻変動が起きて地球の文明は地底の奥まで隠された、この遺産として出土したのが主人公たちが持っているコルトパイソンや高周波ブレードなんです、くらいの裏付けが必要になります。
ここまでやるのは大変なので、モチーフに沿ってグングニルとかミョルニョルをそのまま出す方が楽だと思います。
説明を加えてプレイヤーと認識合わせをするのか、それともプレイヤーの知識をあてにして名前を受け止めてもらうかはターゲットに応じて決めると良いでしょう。
どうせやるなら恥ずかしがらないで
そうは言っても自分の世界を全力で表現したいぜ!
ということもあると思います。そんな時は恥ずかしがらないで全力でやっちゃいましょう。
恥じらいながら、照れながらで自分の世界を表現することほど見苦しい厨二はありません。笑われてもいい、何を言われても良い、くらいの胆力で自分の世界を表現すべきです。
ある種開き直った方がプレイヤーに刺さる世界を作り出せるかもしれないですからね。
まとめ
厨二トークになるとついつい言いたいことも多くなってしまってとっ散らかってしまいました。このページで伝えたかったのは、ターゲットユーザーに合わせてゲーム内の要素の名前を決めていこうね、ということです。
開発者側の知識を押し付けるのではなく、ターゲットユーザーが受け取りやすい形でうまくアレンジして知識を伝えていきましょう。
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