作るゲームの規模感を見積もるトレーニング。この質問に答えてみよう

作るゲームの規模感を見積もるトレーニング。この質問に答えてみよう

作るゲームの規模感を見積もるトレーニングとして、以下の質問に答えてみてください。

Q1. 3日しかないとしたらどのようなゲームを作りますか?

Q2. 1週間しかないとしたらどのようなゲームを作りますか?

Q3. 2週間使えるとしたらどのようなゲームを作りますか?

Q4. 1ヶ月使えるとしたらどのようなゲームを作りますか?

Q5. 3ヶ月も使えるとしたらどのようなゲームを作りますか?

これらの質問に答えられるようになると、使える期間に応じた規模のゲームを作れるようになります。

私は大体の方針はできてきたものの、実際にやってみると「思ったより時間がかかったな……」ということもあるので、そうした経験からフィードバックを得て修正しています。

 

 

ゲーム作りは時間がかかる?

私はガッツリとしたゲームを作ろうとして「ゲーム作りは時間がかかる」と無意識に言っちゃっていますが、規模を考えれば短期間でゲームを作れます。

例えば「Unity1週間ゲームジャム」というイベントをご存知ですか?

月曜日の0時にお題が発表され、日曜日の20時までの1週間でゲームを作るイベントです。

初心者でも参加OKなので機会があればぜひ参加して欲しいのですが、ここではまさに1週間でゲームを作っています。(遅刻もOK)

実は8月も開催されていて、8/10から8/16までの期間で開催されました。400作品以上が投稿されているのをみると、まさにお祭りといった感じですね。

 

開発期間を短縮するには

ゲームの規模を広げすぎなければ、あるいは過去のモジュールなどを使い回せば、ゲームの開発期間は短縮することができます。

例えばニンテンドー64でリリースされた『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』は、その前作である『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のリソースを使い回すことで開発期間を短縮しています。『時のオカリナ』でカカリコ村のコッコお姉さんだった人の3Dモデルが、『ムジュラの仮面』では宿屋の娘であるアンジュに使われていたりと、3Dモデルの流用がうまく行われていました。

『ムジュラの仮面』の設定として、舞台となるタルミナ平原は仮面が作り上げた世界であるとされています。この世界はリンクやスタルキッドの記憶から練り上げたものだから、『時のオカリナ』で見たことのある人がいてもおかしくないんだよーとストーリーの面でも補足されています。使い回しもストーリーとして組み込んでしまうのはさすがという他ありません。すごい。

『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の開発期間は約3年、『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』の開発期間は約1年半と、約半分にまで短縮されているのが分かります。『ムジュラの仮面』もクリアまでガッツリ遊べるボリュームになっていますが、それを半分の期間で完成させたというのは驚きです。

 

いろいろ追加したくなる誘惑

大切なのは規模で、ゲームを作る際にはいろいろと機能を追加したくなる気持ちが生まれます。

これを抑えつつ、ゲームとして成り立たせるために必要な要素に絞って作成していくことで、開発期間を伸ばさずに制作することができます。

「この機能があったらいいなー」とか「もうちょっとこだわりたいなー」なんて気持ちは多分みんな持っているので、いかにこの気持ちを制御するかも大切なことです。

 

規模感を見積もってみる

規模感を見積もるためには可能なら様々な規模のゲームを作ってみて欲しいのですが、最初はそうもいかないと思うので、以下の質問について作れそうなゲームを考えてみてください。

Q1. 3日しかないとしたらどのようなゲームを作りますか?

Q2. 1週間しかないとしたらどのようなゲームを作りますか?

Q3. 2週間使えるとしたらどのようなゲームを作りますか?

Q4. 1ヶ月使えるとしたらどのようなゲームを作りますか?

Q5. 3ヶ月も使えるとしたらどのようなゲームを作りますか?

これは冒頭でも紹介した質問文ですが、それぞれの期間に応じてどんなものができるか考えてみましょう。

 

Q1. 3日しかないとしたらどのようなゲームを作りますか?

3日しかなければ、本当に1つの機能だけ、とても短いミニゲームになるかもしれません。なんならプロトタイプのようなゲームになるかもしれませんが、「本当に必要な機能はなにか?」と自分の作ろうとするゲームの本質に目を向ける良いトレーニングになると思います。

例えば3日あるとしたら、私だったら企画から設計までを半日、開発が1日、テストが1日、リリース作業が半日くらいの感覚でいます。「もうちょっとだけ作りたい」という気持ちを抑えるためにも、テストにかける時間は開発と同じくらいとっています。

作れるゲームの種別だと、複雑なルールのない単純なアクションがおすすめです。Unityのチュートリアルである『Roll-a-Ball』を改造した感じのゲームだったら作りやすいかもしれません。

飛び飛びの地面を転がりながら飛んでゴールを目指すアクションや、コースター系のゲームのようにコースを外れないようにゴロゴロ転がっていくゲームなどだったら3日で作れそうです。

 

Q2. 1週間しかないとしたらどのようなゲームを作りますか?

1週間あると多少機能を追加してもいいかもしれません。タイトル画面とゲーム画面を行き来するようなゲームのサイクルも作れると思います。

C#でシーン遷移の機能を実装するだけならすぐにできますが、UIの作成・配置やデータの受け渡しを含めたテストなどがあることも忘れてはいけません。

作れるゲームの種別は、簡単なアクションやある程度凝ったミニゲームあたりでしょうか。慣れている人ならスコアの測定やランキングの機能まで実装できると思います。システム面ではあまりこだわる時間がないので、シンプルさに目を向けた開発になります。

ちなみにunityroomさんで公開されている「1週間ゲームジャム」に投稿された作品を見るのも見積もりのヒントになります。初心者からすごい人まで参加しているので、ゲーム開発に慣れると1週間でここまでできるようになるんだ! といい刺激にもなります。

 

Q3. 2週間使えるとしたらどのようなゲームを作りますか?

2週間あるとだいぶ作れるゲームの幅が広がります。アセットストアで販売されているアセットなどを組み合わせて使えば2週間といえどちゃんとしたゲームが出来上がります。

個人的な感覚ですが、システム面を自分で整備しなくてはならないゲームだと2週間はあっという間に過ぎ去ってしまいます。なので、3日、1週間で作るゲームについてボリュームを拡張してみるとちょうど良いかもしれません。

また、もしひとりでゲームを作っている場合は素材作成まで含めると2週間は厳しいかなーという感じです。

 

Q4. 1ヶ月使えるとしたらどのようなゲームを作りますか?

1ヶ月まで時間が使えるようになると、少し複雑なシステムを用意したり、素材を自分で用意したりすることも視野に入ってきます。ここでも既存のアセットやライブラリなどはどんどん使っていくべきです。

自分で作り慣れているジャンルのゲームなら1ヶ月あればちゃんとしたものが作れると思います。

一度作ったシーンを何度も使うタイプのゲーム(シミュレーションゲームやレースゲーム)なども作れそうな感じですね。3つ4つくらいのステージやコースは作れるかもしれません。

個人的な感覚だとRPGやノベルゲームなら30分くらい遊べるぐらいの短編ゲームになるかなーという感じです。RPGの場合は武器、防具、アイテム、魔法、敵キャラ、エフェクトなど、決めるべきパラメータが多いので、この部分はどうしても頭を使って考えていく必要があります。

ノベルゲームならシナリオ作成に時間がかかるかもしれません。最初から最後までスムーズに筆が進めばいいのですが、シナリオを考えるときには手が止まることもあるので、1ヶ月という時間を考えると短編を目指すのが良さそうです。

 

Q5. 3ヶ月も使えるとしたらどのようなゲームを作りますか?

3ヶ月あればひとりで作るゲームなら大抵のものは作れるかもしれません。

RPGならシステム面も自分好みに作れるでしょうし、データ作成する時間も取れます。プレイ時間としては3~5時間くらいのものができそうです。

アクションゲーム……と一口に言っても種類が豊富ですが、ある程度のステージ数を持ったゲームは作れると思います。

これだけの期間があれば、ステージを簡単に作っていくためのエディタを自分で用意していくことも視野に入ります。Unityの標準の機能だけでステージを作ったら1ステージ1週間かかるとします。2週間かけてエディタを作って1ステージ3日で作れるようにしたら、1ヶ月で時間的なコストを回収できて、そこからは半分の時間でステージを作っていくことができます。

開発効率を上げるためのツール作成も選択肢として考えられるのがこの3ヶ月という期間です。

 

使える期間に応じてアイディアを選択できる

これらの開発日数はフルで使える前提でいるので、仕事が忙しければなかなかここまで時間を取るのが難しいかもしれません。

しかし、使える時間に応じた規模で作れそうなゲームの候補を挙げておくと、不意に時間が空いたタイミングで開発を進められるチャンスが見つかります。

3日で作れそうなゲームを考えておけば、3連休を使ってひとつゲームが作れちゃいますからね。

いくつかゲームを作れば機能のモジュールを使い回せる部分が増えるので小規模でもちゃんとゲームを作り上げるのが大切です。

 

     

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