技術や知識を得る時に言ってはいけない言葉を知ってますか?

「あ、それ知ってる!」
と、何かを学ぶ時に言ったり思ったりしたことはありませんか?
実はこの言葉こそ技術や知識を得る時に壁となる言葉です。理想的には教わっているタイミング、情報をもらっているタイミングでどんどんそれを吸収していきたいところですが、「それは知っている」と思ってしまうとインプットモードではなく知識の確かめモードになってしまって吸収しにくくなっちゃうんですよね。
自然と思ってしまいがちなのである意味では仕方ないのですが、「あ、それ知ってる! ……けど、実は全部知らないかもしれない」とまだ知らない部分もあると自己認識することである程度防げるかもしれません。
まるで私ができているかのように話していますが、油断すると心の中で思ってしまったりすることもあるので、戒めとしてまとめておきます(笑)
技術や知識を得る時に言ってはいけない言葉
もう何度でも言っちゃいます。
何かを学ぶ時に「あ、それ知ってる!」と思ってしまったら、その技術や知識を得るときに遠回りになります。
なぜかというと、相手の言葉の中から自分が知っている部分と一致する部分を探してしまうようになっちゃうんです。そうすると、本来は新しく知った項目があるはずなのに、一致する部分が出てくるまで情報を削ぎ落としちゃったりするんですよね。
ちょっと例を挙げてみます。このブログではゲーム開発をしたい人を応援しているので、ゲームを作るためのゲームエンジンを題材にしてみます。
例えばあなたがゲームを作りたいと思ったとしましょう。一から作るのは大変なので、ゲームエンジンとしてUnityが良いらしいと聞いたとします。
そこでゲームエンジンについて詳しく知っている友達がその種類を教えてくれたとします。「ゲームエンジンはいくつかあって……」と友人が話し始めたときに、あなたは「あ、それ知ってる!」と思ったとします。いえ、実際にあなたが思うかどうかはさておき、ここでは「ゲームエンジンといえばUnity」という事前情報を思い出したとします。
友達は次のように続けます。「映像や見た目にこだわるならUnreal Engineがいいかも。ブループリントっていう画面から動きを決めていける機能もあるからコーディングが苦手でもとっつきやすいかもね。ただ日本語の情報がそこまで多くないから大変な部分もあるかも。あとUnityっていうゲームエンジンもあって、こっちは割と日本語の情報が多いから取り敢えずゲームを作ってみるならこっちもいいかもね。作りたいジャンルが決まっているならRPGツクールみたいに特化したソフトを使うのもいいよ」
さて、「あ、それ知ってる!」と思ったときに頭の中で何が起きているかというと、事前に知っている「ゲームエンジンといえばUnity」という情報に合致する情報を友人の言葉から探すようになります。この例だとUnityの話が出てきたのは中盤あたりですから、この時点で自分の持っている情報と一致するものが出現して「そうそう、そうなんだよね」と知識の確かめモードがやっと終了します。
おそらく、友人が「今言った3つのソフトウェアなんだけど……」と話し始めたら、「ん? Unityの話は出ていたけど3つもあったっけ? あ、RPGツクールの名前はあったな」というように、合致する前の情報が思い出しにくくなると思います。ここだと多分Unrealの話は名前くらいは覚えていてもブループリントの機能のことまでは覚えていられないんじゃないでしょうかね。
文章だと読み返すことができるので多少起こりにくい現象ではあるのですが、授業やセミナー、勉強会など、リアルタイムで情報が流れていく場面だと起こりやすいと思います。
特に1対多の場面で起こりやすい
情報を発する人がひとり、受け手が複数人、といった状況だと特に起こりやすい印象です。受け手が複数の場合、それぞれの習熟度は異なることが多いので、自分がどこまで知っているのかを発信側に伝えるのが難しいためです。
1対1なら教えてもらうときに「ここまでは調べて何となく理解できました。他の部分はまだです」と伝えることでそれに合わせた伝え方ができます。なので知っていることをベースに肉付けを行なっていけるんです。
しかし1対多では「私ここまでは知ってるんですが……」なんて手を挙げて発言しないですよね(笑) いやまぁしてもいいとは思いますが、他の受講者は「いやいやそれ知らないから聞きたいんだけど?」みたいに思っているかもしれませんし、知っているつもりで聞き流していて実は新しい情報が含まれていた、なんてこともよくあります。
「この辺は知っているんだよなー」という油断は危なくて、知っているつもりでワークに進んだら「あれ? どうしたらいいんだ?」と戸惑うこともあります。インプットモードではなく知識の確かめモードだと情報が入ってきていませんからね。
知識の確かめモードという名のアウトプット
ここまで「知識の確かめモード」と勝手に呼んできましたが、これは言ってしまえばアウトプットの一種です。自分の中にある情報を引き出して外の情報と照らし合わせているんですね。
インプットとアウトプットを同時に行うのは難しいですから、情報を得られるタイミングではなるべくインプットモードを維持するのが望ましいです。アウトプットはインプットが終わった後にやるのが効果的で、どうせアウトプットするならもらった情報をまとめる形でのアウトプットがいいと思います。
その場でテストするならともかく、技術習得では情報を得てから自分の中で消化する時間もあるため、消化した後に知った情報をまとめることで、情報を受け取り損ねることもないですし、理解度も深まります。
情報を得る前に整理する
情報を得る前に、自分が何を知っていて、何を知らないのかを整理しておくと良いかもしれません。知っていることであっても、もう少し深掘りしたり疑問が出てきたりすることもあるので、そうしたものを自分の中で整理しておくと、いざ情報を得るときには生の情報と向き合うことができます。
ぼんやりと知っている状態だと、まるで全て知ったつもりになってしまうこともあります。このぼんやりが「あ、それ知ってる!」を誘発します。
なので頭の中を整理しておくことは大切です。
知っているつもりでも、知らない部分もあるかもしれない。そう自分に言い聞かせておくことで情報を受け取りやすくなります。
まとめ
技術や知識を得る時に「あ、それ知ってる!」と言ったり思ったりすると、インプットモードから知識の確かめモード(アウトプット)になってしまうので、本来得られたはずの情報を取りこぼしてしまうこともあります。
これを防ぐには「自分が知っているのは全てではない、知らないこともあるかもしれない」と自分で振り返ることも大切です。また、事前に自分が知っていること、知らないことを頭の中で整理しておくことでも「知らないことがある」と認識することができます。
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