既存のゲームに学ぶ属性や弱点の相性のサンプル集【ゲーム開発】
ゲーム性を高めるための要素として属性や相性(耐性、弱点)の設計があるとプレイヤーがいろいろと試す余地が生まれます。ここでの「ゲーム性」という言葉は、プレイヤーが色々試してみたくなるような好奇心をくすぐるもの、ゲームの幅が広がるもの、という意味合いで使っています。
ゲーム性に関しては以下の記事でも触れているので、一緒にご覧いただくと良いかもしれません。下の記事ではロックマンを題材に弱点の設計について触れています。
このページでは属性や相性のサンプル集としていくつかのゲームの属性や相性を確認し、あなたのゲームに取り入れていただくヒントにしてもらえたら欣喜雀躍、狂喜乱舞の極みです。
念のため……言葉の定義
このページに来るひとで「属性」「弱点」「耐性」という言葉に馴染みがないとは考えにくいですが、同じ意味で使っているという共通認識を保つためにここで言葉の定義を確認しておきます。
属性
属性は魔法やキャラクターを特徴付ける性質のことで、火属性、風属性、といった使われ方をすることが多いです。火山地帯にいる敵キャラだから火属性、空にいる敵だから風属性のように、そのキャラクターの特徴に合わせてカテゴライズされる要素になっています。
ゲームにおいては同じ属性の敵なら大体同じ弱点が設定されており、ある種の法則性がみられます。これにより、プレイヤーが敵キャラの見た目から類推して魔法やスキルを選択する楽しみが生まれています。
現実世界においても属性の考え方は存在していて、古代ギリシャで提唱された「物質は4つの元素の組み合わせから成り立っている」という四大元素の考え方や、古代中国の書物に記された「万物は水・火・木・金・土から成る」という五行の考え方があります。
耐性
耐性は敵キャラがその魔法に対してどれくらい抵抗するか、どれくらいダメージを軽減するかの要素です。多くの場合、敵キャラ自身に設定された属性と、魔法に設定された属性によってダメージ量が計算されます。
敵キャラの見た目や設定に一致した耐性を設定しておくとプレイヤーにとっても納得感のあるものになります。火に弱そうな見た目で弱点は風、なんていう理不尽さは時としてギャップによる面白みを生み出しますが、あまりに数が多いと「(悪い意味で)適当である」とプレイヤーに判断されます。
RPGなどにおいては耐性のない属性を探していく楽しみもありますね。
弱点
弱点は耐性のない属性であったり、逆にダメージが増加する属性のこと。ゲームではこの弱点を探して効率よく戦っていく楽しみを演出したいところ。
弱点の設定においては、その設定について戦闘シーン以外のストーリーやキャラクターの辞書などで補完できると納得感が増します。例えばロックマン2に登場する敵ロボットのクイックマンの弱点はタイムストッパーですが、これはDr.ワイリーのうっかりによって時間停止の防御装置に欠陥があったためダメージを受けてしまう、という設定があったりします。
設計した弱点からストーリーを作ることも可能なので、相補的に考えてみるのも良いと思います。TRPG界隈ではプレイヤーの何気ない一言を拾ってストーリーに組み込んだりすることから「設定は生えるもの」と言われていたりします。
相性のサンプル集
実際に既存のゲームで使われている相性のサンプルを確認してみましょう。ここではいくつかの型に分けていますが、これは私が勝手に分けたものなので、もっと良い分け方があればアドバイスをいただけると嬉しいです。
パズドラ型
キャラクター自身に属性が設定され、その弱点も属性によって決まっている型です。属性で相性の関係を決めてしまえば、あとはキャラクターに属性を設定していくだけなのでシンプルで分かりやすい形になっています。
パズドラの場合は火→雷→水→火→……の3属性がループする系統と光 <–> 闇 の2属性がお互いに弱点になる系統があります。
シンプルな構成にしておくことで画面上に弱点の対応関係を表示することができますし、プレイヤー自身も複雑な属性の対応関係を頭に入れる必要がないため、負担が少なくなります。
ポケモン型
キャラクターに最大2つの属性(タイプ)が設定され、かつ属性の種類が18種類(ソード・シールド時点)もある型です。
キャラクター自身に属性が設定されるのはパズドラと共通していますが、セットできる属性が2つあることで幅が広がります。
ポケモンの場合は属性同士の相性も18 * 18のマトリックスで設定されているので頭で覚えるのは大変ですが、その分戦略の幅が広がります。子供向けのゲームでこの複雑な相性を入れたのは勇気ありますね。
廃人の人々は対戦でこれを頭に入れているようです。
個別設定型
敵キャラや味方キャラクターに個別に相性が設定されている型です。味方キャラクターの場合は装備品によって耐性をつける形が多いと思います。
例を挙げると、ドラクエやFFだと敵ごとに耐性や弱点が決められています。
メラ系への耐性、ヒャド系への耐性、イオ系への耐性など、個別に設定されているので、開発者からすると作業量は多いものの自由に設定することができるメリットがあります。
作業量の多さはバグにも繋がりやすいので、意図しない設定になっていないか確認が大変でもあります。
メガテン・ペルソナ型
個別設定と似ているけど、敵キャラ自身の得意属性により深く結びついてる型です。
火 <–> 氷
雷 <–> 風
と相性がある程度決まっているので、プレイヤーが弱点を想像しやすいのがメリットです。
メガテンでは神々や悪魔がモチーフの敵キャラが出てくるため、その神話やエピソードからも弱点を想定しやすいのが良いポイントです。
味方側もこの弱点を持っているので、どの悪魔を呼ぶか、どのペルソナをセットしておくか戦略の幅を広げてくれます。P3以降では主人公はペルソナを変えることで耐性や弱点を変更できますが、味方のペルソナは固定なので誰を連れていくかも戦略のひとつになっています。
ロックマン型
個別設定型に近いですが、こちらは敵キャラ自身の属性を設定するというよりも弱点だけ設定しておくイメージです。
ロックマンの場合は弱点の武器がジャンケンのようにループしています。例えばロックマン2ではメタルマン→バブルマン→ヒートマン→ウッドマン→……と順番に弱点が決まっています。
慣れてくると倒す順番が固定されますが、ステージの難易度で調整する方法もあります。(ヒートマンのステージを簡単に攻略するためにはエアーマンを倒してアイテム2号を手に入れたい、など)
型の選び方
属性や相性を考えるのは楽しい作業なのでついつい増やしてしまうことも多いですが、プレイヤーのことを考えるとシンプルな方が良いです。
昔RPGツクールで五行をベースにした属性関係を作ろうとしたことがありました。火は金を溶かし、金は木を切り倒す、といった通常の弱点関係の他に、木が強すぎると金をボロボロにする、という逆の関係もあったりします。これを取り入れようとしたのですが、作っている私自身が相性を覚えきれずに断念してしまいました。
属性が多すぎると覚えることが多くなります。覚えることが多いとそれだけプレイヤーに負担を強いることになるので、ある程度絞っておくのが良いでしょう。
特にスマホアプリであれば3から5つまでがおすすめ。パズドラ型はバランスが良くてアプリと相性が良いと思います。
コンシューマー向けRPGなどでは弱点を探す楽しみを出すため、ドラクエ、FFのような個別設定型がいいかもしれません。
複雑になりすぎず、かつ面白さもあるバランスのいいところをあなたのゲームの世界観と照らし合わせて見つけてみてください。
まとめ
このページではゲームで使われる属性の相性について着目し、既存のゲームをサンプルとして型を確認しました。
プレイヤーの負担を増やさないことも大切なので、たくさんの属性が思いついた場合にもある程度絞る勇気は必要かもしれません。
個人的には作った側が「多少シンプルかな?」と思うくらいでちょうど良いと思います。
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