【Unity】ゲーム性を高める敵キャラの弱点設計【ロックマンに学ぶ】
このページの内容はアクションゲームやRPG寄りのゲームを作りたい人に向けたものです。他のジャンルを作りたい人でも「ゲーム性」の考え方については参考になるかもしれません。
突然ですが、あなたはロックマンを遊んだことがありますか?
どのシリーズでも構わないのですが、多くの場合ロックマンではボスに弱点武器が設定されています。
最初はロックバスターやらエックスバスターしかないのですが、ボスを倒すにつれ特殊武器が手に入り、その武器を弱点とするボスには大きなダメージが入るように設計されています。
こうした弱点の設計はプレイヤーの操作の幅を広げてくれる「ゲーム性」につながっています。
発想のベースはジャンケン
ロックマンでは、元々の発想としてはジャンケンをベースにしたらしく、グーはチョキに強く、チョキはパーに強く、パーはグーに強い、といったような相性がボスの間で決められています。
例えば初代の無印ロックマンだったら、アイスマンの武器はファイヤーマンに効いて、ファイヤーマンの武器はボンバーマンに効いて、ボンバーマンの武器はガッツマンに効いて、……というように6体のボスの間で強弱の関係があるんです。
ロックマンはジャンルで言うとシューティングアクションです。
弱点関係の設計があることで、単純にシューティングアクションを行うだけではなく、プレイヤーが敵の弱点に気づくとより簡単に進められるというゲーム性の高さにつながっています。
「ゲーム性」の意味合い
ここでの「ゲーム性」は、プレイヤーが色々試してみたくなるような好奇心をくすぐるもの、ゲームの幅が広がるもの、という意味合いで使っています。
弱点を突かなくても進められるけど、弱点を知っていればクリア時間が短くなる。こんな感じでゲームのプレイングの幅が広がる要素があるとプレイヤーも熱中しやすくなります。
ロックマンのゲームシステムだと、各ボスを倒すとワイリーステージやシグマステージが出てきてそこで再びステージボスと戦います。ここでは全ての弱点武器が揃っているので、これまでの総復習としてボスを簡単に倒すことができます。各分野を勉強してやり方を覚えて、その実力を遺憾無く発揮するセンター試験みたいですね。
プレイヤーの立場からすると、遊び方を強制されるのはあまり嬉しくありません。何通りかの遊び方があり、その中で自分で選択していけるのが楽しいんですよね。
RPGの例
弱点を突くことが大切なゲームといえば、真3以降のメガテン、3以降のペルソナです。
メガテン3以降だと味方が行動するフェーズ、敵が行動するフェーズが分かれていて、パーティメンバーの数に応じて行動できる数が変わります。(プレスターンバトル)
敵の弱点を突くと行動回数が1回増えるので、より有利に戦闘を進められるようになっています。敵キャラの弱点を知っていれば、敵に行動される前に雑魚戦を終わらせることもできたりします。
これは敵側の行動でも同じで、味方側のキャラが弱点を突かれると敵の行動回数が増えるため、なるべく敵に弱点を突かれないメンバーを選ばないといけません。
うっかり弱点を突かれた日には、何もできずただゲームオーバーになるのを眺めるだけになります。
ペルソナだともうちょいマイルドで、敵の弱点を突いてダウンさせて、敵全員をダウンさせたら総攻撃でフルボッコにできるようになっています。普通に敵を倒すよりも早く戦闘を終わらせられますし、普通に倒す、全員ダウンさせる、という選択肢が生まれているのが良いですね。
子供たちが大好きなあのゲームも
皆さんご存知ポケモンも弱点設計がされているゲームです。ポケモンではいわゆる属性に相当するのが「タイプ」で、各ポケモンに最大で2つまでタイプが設定されているのが戦略性を広げています。
例えば炎タイプを持つポケモンは岩タイプに弱い、なんて弱点が決められています。ヒトカゲは炎タイプだけを持つポケモンで、岩系の技が弱点になって2倍のダメージを受けます。ヒトカゲをリザードンまで進化させると飛行タイプがつきます。飛行タイプも岩が弱点なので、岩系の技を受けると両方を乗算して4倍のダメージを受けるわけです。
タイプが2つあるという点が戦略の幅を広げていて、片方が弱点でももう片方は耐性あり、みたいな組み合わせもあって実はかなり頭を使うゲームだったりします。
もちろん、弱点を突かなくても固定ダメージの技だってありますし、物理でゴリ押しするのもありです。普通にクリアするだけならポケモンのタイプ丸暗記とかいらないので、カジュアルに遊びたい人、ガチ勢としてレートを高めたい人、双方が遊べるゲームになっています。
弱点設計のメリット
敵キャラの弱点を設計しておくことでゲームの幅を広げることができ、プレイヤーの好奇心もくすぐることができます。
「色々試してみたい!」という試行錯誤もゲームの楽しさのひとつです。その気持ちを刺激できると、よりあなたのゲームに夢中になってくれます。
この敵は火が弱点、といったように法則性を見つけ出すのもプレイヤーにとって嬉しいポイントです。なるべく「プレイヤーはこう考えるだろう」とプレイヤー目線で弱点を考えていけるといいですね。全く想定しない弱点だと理不尽さが出てきてしまいますから。
RPGでは、例えばボスキャラに対して「強敵だけどひとつだけ弱点がある」というのをストーリー中で語っておくと、ストーリーとのコンビ技で説得力が増していきます。
弱点設計のデメリット
弱点を設計しておくデメリットは、製作者側のデータ管理が大変なこと。例えば敵キャラのデータを作成するときに各属性に対する耐性値を設定しておくことが考えられますが、これが結構大変なんです。
実は最初の頃リリースしたなんちゃってRPGのアプリでは、こちらの魔法の属性をセットしたり敵キャラの属性をセットしたりと結構手の込んだことをやっていました。最初はそれらのデータをインスペクターウィンドウからひとつづつ設定していたのですが、めんどくさいしミスするしで大変だったんです。
結局Editor拡張を作ってcsvからデータをインポートするようにしましたが、実際に敵と戦って確認する必要があるので、結構テスト期間が長くなるかもしれません。(このへんもテストを自動化するという裏技がありますが)
もしゲーム作りを始めたばかりなら、属性の数を絞っておくのがいいかもしれません。ジャンケンのように3すくみ+無属性くらいにしておいて、敵の耐性も同じ属性なら半減、弱点なら2倍、くらいに留めておくのが良いと思います。
まとめ
主にアクションゲームやRPGで使われる敵キャラの弱点設計。これがあるとプレイヤーが色々と試したくなり、好奇心を持ってゲームを遊んでくれやすくなります。
ゲームだから色々と試せる、というのも魅力のひとつだと思うので、ゲーム作りに慣れてきたらあなたのゲームにも導入してみてくださいな。
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