【ゲーム作り】登場人物の行動理念を考えるヒント【ストーリー】
以前、「キャラクターの行動理念を考えて軸のブレないキャラ作りをしよう」といった内容の記事を書きました。
この記事の中でもメガテンからヒントを得た行動理念の考え方を紹介しているのですが、もう少し追加で行動理念を考えるためのヒントを共有できればと思います。
特に普段私たちが生活していてあまり出会うことのない「悪役」について考えるための大きなヒントになると思います。
悪役にはアレが必要
これはある漫画家さんからヒントをもらったのですが、「悪役を作る時は美学を考えろ」と教わりました。その悪役が何について美しいと感じるのか、しっかりと考えておくことで、キャラクターの厚みが出るのです。
美学は行動理念にも結びつきます。
俗な例を挙げれば、大魔王のゾーマ様のセリフがわかりやすいです。
「〇〇よ!
なにゆえ もがき いきるのか?
ほろびこそ わが よろこび。
しにゆくものこそ うつくしい。
さあ わが うでのなかで いきたえるがよい!」
ゾーマ様は『しにゆくものこそ うつくしい。』と戦闘前に自身の美学を語っています。
美しいと感じるものを追求するため、アレフガルドを闇に閉ざして人々を滅びへと向かわせていたのでした。
人からすれば迷惑極まりない存在ですが、ゾーマ様の立場からすると、自分の美学に沿った行動をしているのです。悪役はこうした一貫性のある行動をすることが望ましいです。一貫性がないとキャラブレが出てしまい、魅力が半減してしまうためです。
悪のカリスマは自身の美学に沿って真っ直ぐに行動するからこそ、部下たちがついていくのです。
主人公たちはもがいていい
一方、主人公サイドは行動理念が変化することもあります。それは物語の進行に沿ってキャラクター自身が成長した結果、行動理念に反映されるためです。
例えば仲間キャラのひとりが「他人を信用しない」という行動理念を持っていたとして、主人公と旅をする中で「信用できる人もいる」と成長した場合は、主人公との会話も変わるでしょうし、仲間を庇うように行動することもあるかもしれません。
ただ、この場合も行動自体がブレるのでは無く、あくまでも行動理念に沿った行動をさせるようにしましょう。
行動理念自体が変わればそこから出てくる行動も自然と変わります。
リアルな人間も参考に
冒頭に紹介した記事では歴史からも学べるとお伝えしています。
歴史というと教科書や本の中で知るような印象がありますが、例え400年前であってもそこにはリアルな人間がいて、彼らが己の行動理念にしたがって行動した結果が歴史として伝わっているのです。
こうした行動理念を参考にするには、やはりリアルな人間を参考にするのが良いと思います。
芸能人とかで「これが私の生き方」のように考え方を公開している人もいるので、こうした考えは創作の参考になります。
例えばタモリさんが赤塚不二夫さんから教わった言葉として、「真剣にやれよ! 仕事じゃねぇんだぞ!」と遊びにこそ全力を注ぐ言葉があったそうです。これによって遊びに力を注ぐことで様々なことを吸収する余裕が生まれ、今ではブラタモリなどで個人の好みである地層のことについて知識を披露しています。
他の人の行動理念は一貫していると捉えるのが私たち人間なので、もしかしたら行動理念が変わったことを観測できずに行動がブレていると感じる人もいるかもしれません。その場合はなるべく思考の過程を追っていける人をフォローすると良いでしょう。
行動理念が変わる過程を知っているのであれば、表出する行動が変わったとしても一貫性がないと感じることはなくなりますからね。
大切にしているものやなぜ怒るかもヒントに
「何を大切にしているか」「何に対して怒るのか」という点に注目すると行動理念が見えてきます。
大切にしているもの、というのは上で紹介した美学にも通じるところがあります。何に対して怒るのか、というのは大切にしているものを傷つけられた時が多いでしょう。この辺りは裏返しで考えるとより自分の言葉で説明していきやすくなると思います。
ハンターハンターのセリフで「その人のことを知りたいならその人が何に対して怒るのか知れ」というものがありましたが、まさにその通りだと思います。
行動理念は物理的なアクションのほかに、どんなときにどんな感情が出てくるのかにも影響します。なのでキャラクター自身の性格とも結びついているはずです。
行動理念に沿ってキャラクターが動き出すように
小説を書いている人の間では、「頭の中でキャラクターが勝手に動き出すくらいになるまで設定を詰めておく」と言われています。場面場面でそのキャラクターがどんな行動をするのか、自然に考えられるようにしているんです。
行動理念をしっかりと詰めて、私たち自身が理解すると、それに沿ってキャラクターを動かすことができます。
行動のサンプルを作ってみたいときには、なんらかのイベントに対してキャラクターがどう反応するかを考えてみるのも良いと思います。
例えば大きな荷物を持って横断歩道を渡っている老人を見かけたとしましょう。このときに、ゲームに登場させたいキャラクターはどのような行動をするのかを考えてみましょう。
他の人のために行動できるキャラクターならその老人の荷物を持って横断歩道を渡るのを助けるでしょうし、自分の利益を最優先するキャラクターなら老人の荷物を奪ってしまうかもしれません。
こんな感じでケーススタディのように何通りか考えてみると、行動のパターンなども考えやすくなります。
もし余裕があれば世界観とも照らし合わせて
もし余裕があれば、その行動理念は世界観の中でどのような位置付けになるのかも考えておきましょう。
現実世界の私たちが良いと考える行動理念でも、世界観が変われば特に良くもない理念なのかもしれません。弱肉強食の世界であれば力こそが正義なんて考えも出てくる可能性だってあります。
キャラクターの行動理念がその世界観の中でどのような評価を受けるのかまで考えておくとさらに深みが増してきます。
別の作品も参考に
映画や小説に登場するキャラクターについて、それぞれの美学や行動理念を書き出してみるのもいいトレーニングになります。
主人公側のキャラクターは物語の進行に伴って行動理念も変容していくので、どういったイベントがあって理念が変わったのかをメモしておくのも大切です。どのような出来事が起こると、どのようにキャラクターに影響を与えるのか、引き出しを増やすことにもなりますからね。
映画からヒントを得るのは行動理念についてもそうですし、作品作り全般でも参考になることが多いので、以下の記事も参考に情報を得ていきましょう。
まとめ
ゲームに登場するキャラクターたちが生きるために心掛けている美学を考えてみるのも、行動理念を考える上でヒントになります。
行動理念は言い換えれば「どのような生き方をするのか」です。キャラクターの生き様を考えるとなるとちょっと重い気もしますが、ここを練り上げることであなたの作るゲームの深みが増します。
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