ゲームエンジンの特徴や使いやすさを比較【あなたの選択の材料に】
「ゲームエンジンっていくつかあるけど、どう違うの?」
「ゲームエンジンを並べて比較してみたいな」
というあなたに、この記事を贈ります。
この記事では、
- 特徴でゲームエンジンを比較
- ゲームエンジンの特徴について良いところと悪いところ
を解説しているので、ゲームエンジン選びの材料にしてもらえたら嬉しいです。
ゲームエンジンの特徴や使いやすさを比較しよう!
結論から言うと、どのゲームエンジンを選んだとしてもゲームを作ることができるので、どれか1つを選んでゲームを作り始めちゃっても良いと思います。どれかひとつに慣れてゲーム開発のプロセスを知っておけば、他のツールを使っても流れは変わらないためです。
この記事で紹介したいゲームエンジンは以下の3つ。
- Unity
- Unreal Engine
- cocos2d-x
「おすすめのゲームエンジンは?」とエンジニアに聞いたら、おそらくこれらの名前が出てきます。個人的にも、この3つのどれかからスタートすれば良いと思っています。
インターネット上の情報量で比較
ゲームエンジンの名前でグーグル検索したときのボリュームは以下のようになっています。調査日は2020年2月5日です。
- Unity …… 約440,000,000件
- Unreal Engine …… 約57,600,000件
- cocos2d-x …… 約5,580,000件
Unityに関してはびっくりするくらい情報が多いですね。
これらの情報全てが日本語というわけではありませんが、ゲームエンジンで開発を進めていく上で、参照できる情報の量に差がある点は意識しておいても良いかもしれません。
この後の項目では、各ゲームエンジンごとに特徴を解説していきます。
もし価格で比較したい場合は以下の記事もあわせてご覧ください。
Unity: 使いやすい万能型のゲームエンジン
Unity Technologies社が公開しているゲームエンジン「Unity」です。
このゲームエンジンの特徴は、マルチプラットフォームのリリースができることです。マルチプラットフォームというのは、PS4、Switch、iOS、Androidといったいろいろなデバイスのことで、一度ゲームを作ったらiOSとAndroid向けにアプリを生成するなんてことができます。(細かい調整は必要だけど)
スクリプトの言語
スクリプトで使用する言語はC#です。
C#はマイクロソフト社が開発したオブジェクト指向の言語です。Windows系に強いですね。
Javaに触れたことのある人だったら入りやすいかもしれません。(私もJavaから入ってきました)
2Dも3Dもいける
Unityは2Dのゲームも3Dのゲームも両方とも作成することができます。
マルチプラットフォームの強みを生かし、スマートフォンとSteam、PS4でゲームをリリースすることもあります。リマスター版ロマサガ2やロマサガ3がこの例です。
また、3Dモデルデータを使って世界を構築することができ、キャラクターのモデルをアニメーションとして動かすことで、作り上げた世界の中を自由に歩き回ることかできます。3Dのキャラクターは経路探索のAIによって主人公の追跡を行うことができたりと、生き生きとしたキャラクターの振る舞いを実装することができます。
情報が豊富
先ほど見ていただいた検索ボリュームにも現れている通り、Unityに関する情報はインターネット上に数多く存在します。
プログラミングスクールでもUnityを扱っているところは多く、Unity自体の使い方だけではなく、ゲーム開発全体の知識についても身に付けることができるでしょう。
特に注目したいのが、Unityが公式で公開しているコンテンツの「Unity Learn」。こちらはUnityの使い方を通してゲーム開発を学べる公式のコンテンツとなっています。無料でも多くの情報にアクセスできるので、個人的に最初にUnityを使ってゲーム開発に慣れるのが良いと考えています。
ただ英語のままのコンテンツが多いため、自動翻訳することも検討すると良いかもしれません。
アセットが豊富
Unityには「アセットストア」と呼ばれるプラグインや素材が並んでいる巨大なストアがあります。ゲームを作成する上で必要になるキャラクターの3Dモデルデータや、開発を支援するスクリプトなど、このストアにある物を使うだけでも1つのゲームができてしまうほど。
ゲーム開発では素材の作成にかかる時間も大きいため、こうしたアセットストアを活用して時間短縮を行うのも大切です。
グラフィックはUnrealの方が強い
グラフィック面ではUnrealの方に軍配が上がると思います。ゲームエンジンの考え方として、リアルな3Dゲームを作ることを目的としているためです。
ただ、Unityでも2020年1月にリリースされたUnity2019.3からHDRP(高精細な描画パイプライン)を使用して映画のようなグラフィックを表現できるようになったので、Unity側も綺麗なグラフィックを作れるようになりました。
できることが多いので得意を見つける
Unityはできることが多い反面、その機能の多さに圧倒されてしまいがちです。
ついつい様々な機能を試してみたくなり、結果としてゲームがなかなか完成しない……なんてことも。これは嬉しい悲鳴でもありますね。
まずは自分が得意な分野(エフェクトだったり、アニメーションだったり、プログラミングだったり)を見つけて、そこを軸に伸ばしていくと良いかもしれません。
Unreal Engine: グラフィックがピカイチのゲームエンジン
Epic Games社が公開しているゲームエンジン「Unreal Engine」です。
このゲームエンジンの特徴は、なんといってもグラフィックがとても綺麗なこと。「これ本当にゲームなの?」というレベルで綺麗なグラフィックのゲームが作成できます。
こちらもマルチプラットフォームでリリースすることができます。
スクリプトの言語
スクリプトで使用する言語はC++、ブループリント、Pythonです。
このうちブループリントはビジュアルスクリプティングのツールで、画面上でノードと呼ばれる処理の箱をつなぎ合わせていってゲームの動きを作ることができます。
プログラミングが苦手でも、画面で操作できるのはありがたいです。
めっちゃ綺麗
なんといっても画面が綺麗。
Unityの追い上げもありますが、PS4で綺麗なグラフィックのゲームを作るならUnreal Engineを勧めてしまうかも。
髪の毛のレンダリング機能とかもあって、映画のようなグラフィックを追求できます。
無料のチュートリアルがある
Unreal Engineの公式で無料チュートリアルが用意されています。画面や音声は英語なのですが、日本語の字幕を出してくれているので、問題なく進めることができます。
学習状況も記録されるため、どこまで観たかもあとで振り返りやすくなっています。
UnityもUnreal Engineも、公式でこうしたチュートリアルコンテンツを用意してくれているのが嬉しいですね。
Unity引越しガイドがある
個人的に嬉しいのがこれ。
Unreal Engine4のマニュアルには「Unity引越しガイド」があり、Unityの機能とUnreal Engineとの対応を解説してくれています。Unityでやろうとしている作業が、Unreal Engineの方ではどのような操作が必要なのか、結構充実して書かれています。
これの何が良いかというと、先にUnityに慣れてゲーム開発を学んでおけば、Unreal Engineへの移行がスムーズになること。
情報が多いUnityでゲーム開発について一通り学んでおいて、グラフィックを重視するゲームを作るときにはUnreal Engineに素早く慣れて開発に入ることができます。
どちらかひとつしか使っちゃダメ! なんてことはないので、選択肢を増やす手助けがあるのが嬉しいです。
マーケットプレイスがある
Unityのアセットストアのように、プラグインや素材が並んでいるストア「マーケットプレイス」があります。
こちらも時間短縮につながるため、積極的に活用していくと良いでしょう。
ハイエンドの端末向け
グラフィックが綺麗だということは、それだけ処理性能が求められます。グラフィック面での強みを活かすには、スマホだと少々力が足りないかもしれません。
2020年現在、スマホもハイエンドモデルは性能が大きく上がっているので、ある程度モバイルでも動く状況にはなっていると思います。昔ほど「スマホ向けならUnityかcocos2d-x、PC向けならUnreal Engine」という状況でもなくなってきている印象です。
Unreal Engineで2Dのゲームも作れるので、モバイル向けなら2Dを検討しても良いかもしれません。
グラフィック関係の機能が多い
嬉しい悲鳴でもありますが、グラフィック関係の機能が多いため、Unreal Engineのポテンシャルを最大限に引き出すためには覚えることがたくさんあります。
ゲーム開発に慣れないうちにマスターしようとすると挫折する要因でもあります。
描画系の知識は幅広いので、ちょっとずつ慣れていくのが良いと思います。最初は良い感じのグラフィックが作れなくても、だんだんと機能を覚えて組み合わせていけば見た目がどんどん良くなります。
cocos2d-x: 2Dゲームが得意なゲームエンジン
オープンソースのゲームエンジンです。ゲームエンジンというよりも、フレームワーク(共通処理を使いやすくまとめたもの)の方が近いかも。
名前に「2d」と入ってる通り、2Dのゲームを作るのに向いています。
スクリプトの言語
スクリプトで使用する言語はJavaScript、TypeScriptです。
TypeScriptはマイクロソフトが開発したオープンソースの静的型付け言語で、オブジェクト指向になっています。
2Dにめっちゃ強い
2Dのゲームを作るならこれで良いかも。2Dのゲームならスマホアプリでもこれを使っていることが多い気がします。
3Dの機能もあるので、cocos2d-xで3Dのゲームを作れないこともないです。でも3Dのゲームを作るなら素直にUnityかUnreal Engineにしましょう。
アプリ作るならこれ
2Dのスマートフォンアプリをメインに戦うならcocos2d-xが良いと思います。
理由としては、ビルド後のアプリサイズが小さくて済むからです。UnityやUnreal Engineではアプリでもエンジン部分のコードが大きく、案外大きなアプリサイズになったりします。
アプリストアでは200MBを超えたらWi-Fiに切り替えるといった容量制限があるため、容量に関して警告のダイアログが出たりするとユーザーがダウンロードを中断してそのまま離脱してしまうことも。
その点、アプリサイズが肥大化しないcocos2d-xはかなりありがたいです。
公式の言語が英語か中国語
オープンソースのゲームエンジンなので、公式の言語は英語か中国語に限られています。日本語は対応していないことから、公式サイトで情報を探すのはちょっと大変かもしれません。
ただ、ブラウザの自動翻訳を使えば書いてあることの流れが分かるため、原文と照らし合わせながら読むと良いでしょう。
インターネットで自分で情報検索
UnityやUnreal Engineに比べると、情報を検索する時間が増えるかもしれません。公式の動画チュートリアルなどはなく、インターネット上に公開されている先駆者たちのブログを調べる必要があるためです。
検索ボリュームでいうと3つのゲームエンジンの中で一番少ないです。しかし、調べれば日本語のブログがたくさん出てくるので、検索の手間があるとはいえ、全くの手がかりなしという状態までにはならないでしょう。
自分が開発している姿を思い浮かべよう
最初にゲームエンジンを選ぶのは結構ドキドキしますよね。
最初だからつまづくことも多くて、「やっぱりあっちにしておけば……」なんて不安になることもあります。
今回挙げたゲームエンジンに関しては、全て無料で使い始めることができます。なので、後から別のゲームエンジンに切り替えたって良いんです。気軽に飛び込んでみるのが大切ですね。
作りたいゲームが思い浮かんでいるのなら、それをベースに選択すると良いでしょう。
ある程度自分でも開発ができて2Dのゲームを作ってみたい → cocos2d-x
ゲーム開発自体にも慣れていきたい → 情報の多いUnity
グラフィックが大切だ! → Unreal Engine
迷っちゃって選べない! → とりあえずUnity
特徴と照らし合わせて選択してみましょう。
まとめ: どれも良いゲームエンジンです
この記事では特徴の面で3つのゲームエンジンを比較しました。
自分が今後作っていきたいゲームを思い浮かべながら、特徴と照らし合わせて選択すると良いと思います。
どれも良いゲームエンジンなので、まずは気軽に使ってみてあなたのゲームを作り上げましょう!
価格で比較したい場合は以下の記事をご覧ください。
ゲーム開発の始め方についても合わせて参考にしてもらえればと思います。
ゲーム開発の攻略チャートを作りました!
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