【ゲーム開発】素材から作り始めない方が良い理由〜個人の経験を添えて

【ゲーム開発】素材から作り始めない方が良い理由〜個人の経験を添えて

todoでございます。

今回はフランス料理のメニュー風なタイトルからスタートです。

 

「自分のゲームを作る!」

と思い立ったが吉日、ゲームに登場するキャラクターの画像を作ったり、「こんな曲流れたらかっこいいよね」とDTMを始めてみたり…なんてオリジナリティを出そうとして素材から作り始めて一向にゲーム開発が進んでいかないのは多くの人が通る道ではないかと思います。

やがて頭の中にあるゲームが要求する素材の量の多さに辟易して、コードを書かずしてそのゲームが封印される…という悲しいお話もよく聞きます。

素材から作り始めるとそのゲームを作るプロジェクト自体が頓挫することが多いように感じているので、なるべく素材から作り始めない方が良いのでは? という理由を考察してみたいと思います。

 

 

ゲームで表現したいこと

ゲームを作るときはなにかしらの「表現したいこと」があるかと思います。

例えば、

  • 自分の作ったドット絵で優しい雰囲気を表現したい
  • 自分の作ったかっこいい曲を流したい
  • 感動のストーリーを伝えたい

などなど、色々とゲームに盛り込みたいものがあります。このうち見た目に関する部分や音に関する部分は素材を作ることも選択肢に入ります。

こうした部分を表現するために自分で素材を作るのはとても良いことなのですが、ゲーム開発の進捗的にはなかなか進捗が目に見えてこないのでモチベーションを落としやすいんですよね。素材だけ出来上がっていきつつも、肝心のゲームはまだ無限大の可能性を秘めた例のシーンのまま……なんてことも。

無限大の可能性を秘めた例のシーン
無限大の可能性を秘めた例のシーン

 

悲劇! 後からの作り直し

素材を作ってからゲームを作り始めると、システム側の仕様によって素材を作り直すこともあります。

「おそらくこれでいける!」

と思って作り始めるものの、効率良く処理を行うために、あるいは画面のスペースや色調などの問題で素材の修正に戻ることもしばしば。初期の頃の私がこれをやってしまって、その結果開発期間が伸びに伸びて別のゲームを作り始めてしまい、そのまま埋もれたゲームがいくつもあります。せっかくのアイディアを沈めることになるのはとても悲しいものです。

実際に画面に表示するテキストなどを配置し始めると、例えばUIのアイコンなどはサイズ変更を行わないと画面に入らないこともあります。画面に表示する情報の種類を仕様として十分に落とし込めていなかったケースもあるでしょうし、仕様は作っていたけど「もう少し情報を追加した方がユーザー的にも分かりやすくなる」と改善案が思い浮かぶかもしれません。

こうした際の修正でUnity上のサイズを変更するだけで済めばありがたいのですが、画像を縮めた場合などでは見た目が若干アレなことになることも。そうすると結局素材自体を作り直すケースもあります。

最初からある程度画像の規格について目安を作っておけばそれに沿って素材を作っていけばいいので、「初手、素材作成」は結構リスクが大きかったりします。

調整レベルで済むならセーフ、でも全体に影響を及ぼすレベルで修正が入ったりすると……考えるだけでも恐ろしいですね。楽しい気持ちのままに作り上げた素材を作り直すのはメンタル的にもダメージが大きいです。特にシステム部分を作っている途中だと、コードを書きながらあーでもない、こーでもないと悩みつつ進めていくことが多いので、そこに素材の修正が重なるとモチベーション的には悪影響に。

最悪の場合はゲーム開発がエターナってしまい、完成しないままプロジェクトが開かれなくなってしまうこともあります。「エターナる」に馴染みがなければ以下の記事もご覧ください。

 

でも素材作りは楽しい

正直に言うと、素材作りはめっちゃ楽しいんですよね。「この素材を使って自分のゲームを作るぞ!」とウキウキしながらAsepriteでドット絵を作ったり、Blenderで3Dモデルを作ったりと、こうした時間はとても魅力的なものです。

ある程度ゲーム作りに慣れてくると、他の人の素材を使うことから自分で素材を作り始めたくなる気持ちもあるのかもしれません。ゲーム作りの過程で素材作成の話についても触れることがありますし、「自分でもやってみたいなー」と思うのは自然なことだと思います。

個人的にはこの経験から、初手素材作成ではなく、初手プロトタイピングがおすすめです。試作品レベルまで行かないまでも、モックアップレベルでシステムを組んでしまって、テストなどでちょっとモチベーションが減速してきたなーというタイミングで素材作成を始めるといい感じにテンションが上がります。

プロトタイピングの話は以下のページでも触れています。

 

素材作成自体は楽しい作業ですから、プロジェクトを進める過程で辛い作業が発生しそうなタイミングに合わせると開発のモチベーションを維持しやすくなるかと思います。素材作成中は「この素材をゲームに当てはめたらもっと楽しいゲームになる!」と完成品の姿も重い描きやすくなるのがグッド。

素材が出来上がったらあとはプロジェクトに当てはめていけばいいので、修正や調整の回数を減らすことにつながり、この部分も時間短縮になります。開発後半はタスク(やるべきことなど)が増えてくるので、そのタイミングでPhotoshopとUnityを行ったり来たりなど、ツールを往復するのは案外時間がかかって辛いですからね。もどかしさを感じたりします(切実)

 

プロジェクトの合間に作ったり集めたり

ゲームで使いたい素材は事前にある程度雛形を用意しておくと良いかもしれません。また、モックアップやプロトタイプを素早く作るための仮置き用の素材についても日頃から収集しておくとアイディアが思いついた時にハイスピードで開発をスタートできます。

アイディアを形にする時間が短ければ短いほどモチベーションが高い状態で完成させられますからね。

2DならRPGツクール系の素材を集めておくと便利です。ドット絵の歩行グラフィックなどはRPGツクールの素材を加工している場合はUnityで使えませんが、ライセンスなどを確認しながら定期的に集めておくと素早く仮置きできるかと思います。

3Dの素材だとフリー素材はそこまで多くない印象なので、Unityを使っているならアセットストアが便利です。Unityのアセットストアの素材については別のゲームエンジンでも使えるので、UnrealEngineで使ったりもできます。(個々にライセンスが設定されている場合は別)

規約が変更になったのは2020年のことで、Unity公式のツイートでも以下のようにアナウンスがされています。

 

3Dモデルならアセットストアに加えてBOOTHで販売してたりするのでこちらもチェックしておくとグッド。かわいい系のモデルが多めかもしれません。

もし今(2021年8月)ある程度の素材をまとめて入手するならちょうどバンドルセールをやっているので、こちらもおすすめです。通常のアセットひとつ買うくらいの価格でまとめて複数のアセットを買える福袋のようなセールになっていて、イメージを膨らませるための素材として買っておくと今後のゲーム開発スピードを上げることができます。

プロトタイピングのメガバンドルセール このセールは終了しました。

まとめて複数のアセットが手に入るバンドルセール

 

 

まとめ

ゲームを作り始める時には、まず最初に素材から作り始めない方が良いよーという話を以下の観点から考えてみました。

  • 素材の作り直しによる手戻り
  • モチベーションの低下

素材を作る作業自体を無くすのではなく、素材作りを行うタイミングが大切だと思っています。このタイミングを考えるだけでプロジェクトが停止する確率が減るので、多少システムができてきてデバッグ作業が辛くなってきたところで素材作りの楽しさをぶつけるのがおすすめです。

あくまで個人的な経験からなので、人によっては素材から作るとプロジェクトが終わらないリスクもあるよ、と頭の片隅にでも置いていただければと思います。

 

     

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