新しい技術への恐怖はみんな持ってるから落ち込まなくていいのよ【開発】
私はUnityを使ってゲーム開発をしています。Unityは毎年バージョンアップしていて、メジャーバージョンアップのたびに新しい機能が追加されていきます。
どんどん新しい機能や技術も追いかけていきたい! と思いながら、基礎がためと並行して進めています。基礎は基礎として身に付けていきたいですし、「もうだいたい分かってきたぜ!」という分野の話であっても、以前と実装方法をちょっと変えてみたりすると新しい発見があるので正直終わりがないなーと感じています。
今やっている作業に加えて新しい技術まで学ぶとなると……とてもじゃないけど時間が足りない!
なんて新しい技術に興味はあっても、紐解く時間を取らずに1ヶ月、2ヶ月経過していたということもよくあります。新しい技術に触れた時に、それを確認する手が動かないのは「恐怖」を感じているからです。この恐怖は自分を変えてしまうことの恐怖で、実はある程度技術に慣れてきた人が持ちやすい恐怖でもあります。
新しい技術はどんどん出てくる
ソフトウェアの世界では日々アップデートが行われているので、どんどん新しい技術や機能が出てきます。もしなにかソフトウェアやゲームを作ったことがあるなら、リリースした後でもどんどんアップデートしていくのは体験を通してイメージしやすいかもしれません。
例えばUnity2020だと「UI Toolkit」のパッケージに含まれている「UIElements」がランタイムで実行できるようになるとかで、画面にUIを配置する方法もまた新しくなりそうです。(エディタ上ではUnity2019から使えます)
UIElementsはイメージでいうとHTML+CSSのようにWebサイトでパーツを配置するのに近い方法です。UXMLという構造を定義するファイルと、USSという装飾を定義するファイルを組み合わせてUIを画面に描画する方法になっています。
Web系のなにかに触ったことがある人なら「まんまやんけ!」と馴染みやすいかもしれません。
ImageコンポーネントやTextコンポーネントなど、ゲームオブジェクトベースのuGUIはまだまだ現役ですし、「UI Toolkit」は現在開発中のパッケージなのですぐに切り替える必要はありませんが、いずれこの方法が主流になることも考えられるので少しずつ調べていくのも良いでしょう。
……とまぁこんな感じでどんどん新しい技術、方式が出てきます。
正直な気持ち
正直、「うわぁ追いつくの大変!」ってちょっとだけ思ったりすることもありますよね。今抱えているプロジェクトや作成途中のゲームだってあるでしょうし、そこに加えて新しい技術を学んでいくとなると、時間の捻出が鍵になります。
専業でゲームを作っている人ならともかく、会社で働いた後に趣味でゲーム開発をしている人だと時間の捻出は大きな課題です。いや、専業でゲームを作っている人でも他の人から仕事を受けていたらそちらに時間を使っているので同様に時間を確保するのが課題になります。
新しい技術を学ぶためのコストもなんとなく見えてしまっているのも大変だと思う気持ちに拍車をかけているかもしれません。1日だけでバッチリ理解できるということは少なくて、時間をかけて動かしてやってみることで身に付いていくことが多いですから、こうした未来が見えてしまうと「ガッツリと時間を確保しなきゃ……でも今作ってるゲームもあるしなぁ……」とやらない理由を探してしまったりします。
これって行動を変えることにも繋がっていきます。今のやり方を変えるというのは、実は人間にとって抵抗感のあることなんです。
現状維持バイアスの存在
1988年、心理学のとある論文で、「現状維持バイアス」というものが報告されました。バイアスとは偏りを生じさせるもののこと。
これは、たとえ有益なものであっても、新しいものとか変化が必要なことを受け入れるのに抵抗感が出てきちゃう心理的な傾向のことです。
例えば、「最近ぽっちゃりしてきたしダイエットを頑張ろう!」と思った人が、ついついその日もおやつを食べて「ダイエットは明日からでいいか」と結局いつもと変わらない生活をしてしまった……なんて話を聞いたことがありませんか?
これと同じように、新しい技術が有用だと分かっていても、なんとなく手を出すのが後になってしまう……ということがあります。
これは私たちの意思が弱いのではなく、人間の心理的な傾向としてそうなっているのです。
特に現状としてある程度技術に慣れている人だと、今やっていることを変えることに抵抗感を持ちやすいんです。今持っている技術を習得するのにかかったコストもありますし、やり方を変えてうまくいくかどうかは未検証ですからね。
ITエンジニアの言葉
「ITエンジニアが新しい技術を覚えるのに尻込みするなんてけしからん!」という人もいますが、多分その人だって心の中では「今やってる仕事もあるし後でいいよね」と思ったことがあるはずです。他の人には「よそゆきの顔」を見せますからね。
大事なのは、新しい知識や技術に出会った時に「めんどくさいなー」とか「怖いなー」と思うのは自然なことであると知っておくことです。
「みんなそうなんだ!」と思えば、多少気が楽になりませんか?
「無理して追いつかなきゃ!」と心理的な抵抗を感じながら義務感で学ぶことほど辛いものはありません。気が向いた時にやってみればいいや! くらいの気軽さで構えているのがちょうど良いと思います。
恐怖を感じたところで、最終的にやるのなら何も問題はありません。どうせやり始めたら「あの抵抗感はなんだったのか」というくらいに夢中になっちゃいますからね(笑)
新しい技術は楽しい!
やる前は全然乗り気じゃないのに、いざ勉強してみると楽しいのが新しい技術の怖いところです。友達に
新しい技術は既存の問題を解決しているものであることが多いので、これまで意識的に、あるいは無意識的に感じてきた不便さが解決していることを知るのはとても嬉しいものです。
あるいは新しい価値観が生まれるような、イノベーションが起きた技術かもしれません。個人的にイノベーションを感じるのはVRの技術で、自分がその世界の中にいるような感覚を持つのにはびっくりしました。
さっきまでの価値観を全部変えちゃうくらいに夢中になれる楽しさが新しい技術には込められています。この楽しさはおそらく自分が変わることへの恐怖を乗り越えたこともスパイスとなっているのかもしれません。自分を変えるというリスクをとって新しい価値観というリターンを得るのは学習の醍醐味かもしれませんね。
なので、新しい技術に対する恐怖自体を忌避するのではなく、むしろみんな恐怖は感じていて、この恐怖が新しい技術を楽しむためのスパイスになるのだ、くらいに気楽に構えているのがちょうど良いです。
まとめ
新しい技術を学ぶのが億劫になってしまうのは、現状を変えてしまうことに対する恐怖があるためです。これは多くの人が感じる心理的傾向なので、恐怖を感じたとしても落ち込む必要はありません。
やる前は億劫でも、実際にその技術に触れてみたら「なんで足踏みをしていたんだ」と思っちゃうくらい楽しめると思いますので、最終的にその技術に触れればOKです。
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