モチベーションを上げるゲーミフィケーション【ゲーム開発者の強み】
突然ですが、ゲーミフィケーションという言葉を聞いたことはありますか?
ゲーミフィケーション(gamification)とはゲームの原則や考え方を他の分野にも適用することで、例えば単純な仕事などもゲームのようなルールを導入して楽しみながらできるようになる方法です(ざっくり)
私たち開発者は、ゲームを作っている強みを生かして普段の生活や仕事にゲーミフィケーションの考えを取り入れることで、生活全般で楽しさを生み出す強さを持っています。
自分で自分の生活を楽しくする仕組みを作れるというのは結構な特殊能力なんじゃないかと思います。
ゲーミフィケーションの事例
本で読んだマイクロソフト社の事例では、翻訳の精度を上げるための方法としてゲーミフィケーションが使われました。
マイクロソフト社ではかつて英語のドキュメントを別の言語に翻訳している際、より自然な修正を行ったり、ドキュメントの間違いを見つけた場合にスコアを加算して、その人がどれくらい修正に貢献したかをみんなに分かるようにしていたそうです。
スコアによって順位が分かるリーダーボード(ランキング)を用意して、社員が自発的に競って修正箇所を見つけるようにしたことでドキュメントの質が向上したとか。
修正箇所の発見は言ってしまえば結構退屈な作業です。じーっと画面で文章を読んでいても、結構見逃しちゃったりしますもんね。
特に反射光で文字を読み取る紙面ではなくて、ディスプレイ自体が光っている画面から文字を読み取るのは結構間違いを見逃しやすいんです。反射光か、直接光か、というのは脳の情報の受け取り方に影響を与えており、反射光の方が読み取りやすいとか。(どこで聞いたのか出処を忘れてしまったので眉唾レベルで聞いといてください)
そこにゲーミフィケーションの考え方を導入したことで、修正箇所の発見というゲームが始まりました。
ゲーム開発以外の行動を向上させることができる
さて、この話が私たちにどう関係するかというと、ゲーム開発以外の行動をゲーミフィケーションによって向上させられる点がキーです。
ゲーミフィケーションではゲームを作るときのルールやデザインを適用します。
ということは、私たちは既にこれを知っているので、単純に行動に当てはめればいいのです。
例えばゲーム開発の作業をした日はログインボーナスのようにスタンプカードにスタンプを押すのも良いですし、普段の仕事だってミーティングやレビューのために上司や先輩のスケジュールを押さえるのもゲームの一環です。特定のイベントを起こすために登場人物のタイムスケジュールを確認するのはゲームでいつもやっていることですもんね。
単純な頼まれごとでもサブクエストのつもりで自分で経験値を設定しておいて、人を助けるたびに経験値を獲得していく様子を記録していけば、あとで振り返ったときに「こんなに人の役に立ってたんだ!」と自分を誇りに思うことができます。自分を誇らしく思うことで自己効用感が高まり、難しいことに挑戦するモチベーションが湧いてくるようになります。
報酬を用意しよう
ゲーム内のクエストであれば報酬が用意されていることが多いので、それに習って何かを成し遂げたときの報酬も設定しておきましょう。例えば社内で頼み事をしてきた相手に報酬を請求するのは気が引けるかもしれないので、自分にご褒美をあげる方向で考えると良いかもしれません。
(社内の誰かが頼み事をしてきたら報酬をもらうより、「ひとつ貸しを作った」という状態にしておいた方が後々社内で仕事を進めやすくなるかもしれませんね。あなたが困ったときに助けてもらいやすくなるかもしれませんし)
簡単な仕事だったら普通のプリン、難しい仕事だったらゴージャスセレブプリン、といったように報酬にもランク付けをしておくと「よっしゃいいプリンのために難しいこともやってみよう!」とやる気が出てきます。難しさに比例していい報酬をつけておくのがポイントです。
食べ物で設定しておいてもいいですし、積みゲーを消化する時間を作ってもいい、と自分に許可を与えるのでもいいと思います。あなた自身がもらって嬉しいものを設定しておきましょう。
強い敵を倒したらたくさんの経験値とお金が手に入るのがゲーム的な王道ですからね。この部分のゲームバランスはプレイヤー有利になるようなくらいでちょうどいいと思います。
いにしえのファミコンで見られた敵の強さと経験値が見合っていない状態にしてしまうと、ゲームをプレイするモチベーション自体がなくなってしまいます。
シンプルなルール
ゲーミフィケーションを導入する場合はルールを難しくせず、むしろシンプルであればあるほど良いと思います。
どんな行動を評価して、どんな行動が良くないのか、単純なルールを作っておくと良いでしょう。なんてことない作業であっても、ゲームのように楽しむことができます。
普段のゲーム作りの知識が別の行動にも活かせるなんて、ゲーム開発をやってて良かった! と胸を張れます。
企画力を養える
人から頼まれた仕事の他に、自分が普段の生活でやるべきこともゲーミフィケーションが導入できます。
例えばひとり暮らししている人だったら家事を全て自分でやることになります。結婚している人でも分担を決めているでしょうから自分の担当範囲の家事があるはずです。
こうした家事もデイリーミッションとしてゲーミフィケーションを導入してみると楽しく片付けられます。デイリーミッションを7日続けてクリアしたらちょっといいご褒美を用意しておくのも良いでしょう。
普段の生活を振り返ってみれば、様々なことをゲームのように楽しい行動に切り替えることができることに気付くかもしれません。そして「これをゲームとしてリリースできるかも?」とアイディアもどんどん浮かんでくるかもしれません。そう、普段の生活にゲーミフィケーションを取り入れようと頭を働かせることで、ゲームの企画力も伸ばしていくことができます。
実際にゲームにする際にはルールを分かりやすく伝えたり、ユーザーさんが面白いと感じるポイントを意識したりする必要もありますが、ゲーミフィケーションを導入したときに自分がどんな点楽しさを感じたのか、どんな点を改善していった方が良いのか、といった情報を残しておくことで判断の材料になったりします。
まとめ
ゲーム開発者はゲームを作るのが得意です。この力を生かして、普段の生活にゲーミフィケーションを取り入れてみましょう。なんてことない作業でもゲームの楽しさを導入することができ、ついつい後回しにしてしまいがちな単調な作業も楽しく片付けることができます。
ゲーミフィケーションは使い方次第で生活の中の多くのことに使えるので、「この作業をゲーム化できないかな?」といった感じでゲームを企画する力も養えます。
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