【Unity】Village Exteriors Kitはファンタジー系ゲームに【アセット感想】

【Unity】Village Exteriors Kitはファンタジー系ゲームに【アセット感想】

3Dのゲームを作るときにネックになるのが、キャラクターが歩き回るフィールド(環境)を作ること。デフォルトのPlaneだと味気ないし、Terrainを使って地形を作っても、そこに配置するオブジェクトも用意しないといけません。

Unityを使い始めた頃、自分だけのオリジナルRPGを作ろうとして3DモデリングソフトのBlenderを使ってゲーム内のオブジェクトを作ろうとしたことがありました。いくつか作ったところで「これはいつまで経ってもゲームが完成しない!」とゲーム作りの方に注力するようになったのですが、どうにかしてゲームで使える素材を手に入れる必要があるのは変わりませんでした。

Unityでゲームを作るときに素材を手に入れる手段としてはアセットストアがあります。とはいえ英語で説明が書かれているプロダクトを買うのは勇気がいるかと思いますので、私が買ったことのあるアセットがどんな感じか紹介できればと思います。

このページで紹介したいのは『Village Exteriors Kit』という3Dの環境を作るためのアセットです。

 

Village(村)の名前が入っている通り、ファンタジーのゲームに出てくるような村を作ることができ、アクション、RPG、アドベンチャー、農業シミュレーションなど、多くのジャンルのゲームに使えると思います。

結構しっかりした作りのモデルデータなので、PC向けやハイエンドのゲーム機向けのアセットです。近年性能が上がってきたスマホでもいけそうな気がしますが、もしスマホ用のゲームに使う場合は「Low Poly(ローポリ)」の文字が入っているアセットを使った方がパフォーマンスが良くなります。

ローポリゴン系のアセットについても、ついついたくさん買ってしまっているので、また別の記事で紹介したいと思います。

 

 

ゲームの環境を作れる3Dモデル

『Village Exteriors Kit』は3Dゲームの環境を作ることができる3Dモデルのアセットです。アセットストアだと「Environments」というくくりになっています。

ゲーム内の環境はそれ自体はメインの要素ではないのですが、ゲーム内の世界をユーザーに語るための要素として大切なものです。

このアセットはファンタジー系のゲームに出てくる村を作るのに最適で、村だけではなく砦やお城、市場のパーツも含まれています。用途が幅広いので、様々なタイプのゲームを作ることができるのが嬉しいところ。

森の中にある村、山間部の砦、平原のマーケットなど、使い道は多岐にわたります。舞台を全部このアセットで賄ってもいいですし、ある地方だけこのアセットで実装するのも良いかもしれません。

 

デモシーンの紹介

アセットをインポートしたときに確認できるデモシーンを紹介します。デフォルトで存在しているデモシーンは建物やオブジェクトの配置イメージとなっているので、ポストプロセシングで雰囲気を変えたものも一緒に紹介します。

 

バイキングの村

デフォルトのシーンを開くとこんな感じ。バイキングの村だけあって、Skyboxもちょっとおどろおどろしい雰囲気になっています。

バイキングの村
バイキングの村

 

これをPost Processing(ポストプロセシング)で調整するとこんな感じに。Skyboxも別のアセットのものを使って雰囲気を変えてみました。

航海から帰ってきて村のみんなが暖かく迎えてくれるような村になりましたね。同じ「バイキングの村」でも、住んでいるバイキングのスタンスの違いが表現できました。この村のバイキングはあまり強奪とかしなさそう。

ポストプロセシングで雰囲気を調整
ポストプロセシングで雰囲気を調整

 

田舎の宿

田舎の宿(Old Inn)のシーンは以下のようにオブジェクトが配置されています。

古い宿屋
古い宿屋

 

こちらもSkyboxを設定して、ポストプロセシングで雰囲気を変えてみました。冒険から帰ってきてやっと休める感じを表現しています。

やっと休める感じを表現
やっと休める感じを表現

 

山間部の砦

木で作られた柵もあるので、前線で作られている砦や基地を表現できます。

山に作られていそうな砦
山に作られていそうな砦

 

Skyboxとポストプロセシングで調整するとこんな感じ。実際に使うときには建物もたくさん用意するといい感じになり、Terrainで周りが山に囲まれているような感じにすると砦らしくなると思います。砦は攻めにくいところに作るのがポイントですからね。

戦いの準備をしている感じ
戦いの準備をしている感じ

 

縁石

馬車や荷車が通る道には縁石を用意しておくと少し発展した感じを出せます。マーケットや町など、人が集まる場所でこのような装飾を行っておくとより雰囲気を出せます。

馬車が通る道の縁石
馬車が通る道の縁石

 

どんなPrefabが含まれているか

自分で組み立てていくときには用意されているPrefabを使います。正直にいうと、数が多すぎて全てを把握するのが大変なんですよね。フォルダ分けされていますが、全部を開いて確認するのも結構大変でした(笑)

その分、Prefabを組み合わせれば無数に村や砦などの環境を作り上げることができるので、嬉しい悲鳴でもあります。

Prefabの中には「Base」と呼ばれるパーツもあり、建物を組み立てていくときに位置ぎめを行うことができます。このパーツの使い方を説明したシーンもあるのでこうしたものを参考に組み立てていくのがベスト。

ステップバイステップの工法
ステップバイステップの工法

 

建物

既にPrefabとして組み立てられている家のオブジェクトがたくさんあります。最初はここから選んで使うだけでも十分に組み上げることができると思います。

既に完成している家もたくさん
既に完成している家もたくさん

 

田舎といえばこうした水車も雰囲気作りに一役買っています。

田舎といえば水車
田舎といえば水車

 

お城や聖堂

「Village」と冠しているものの、お城のパーツも豊富にあります。この画像で紹介しているのは入り口だけですが、お城の壁、屋根、塔、橋など、お城を組み立てるのに必要なパーツが揃っています。

お城の入り口
お城の入り口

 

聖堂といえばステンドグラス。お城のパーツを使って聖堂を組み立てることもできるので、こうしたステンドグラスを嵌め込むことで雰囲気を演出しましょう。

ステンドグラスも豊富
ステンドグラスも豊富

 

市場

日除けのキャノピーのパーツもあります。この辺りはファンタジーの市場で良く見るパーツですね。

市場で良く見るアレ
市場で良く見るアレ

 

市場といえば野菜や家畜を入れるためのカゴもあります。家畜がこうしたカゴに入っているのは中世をイメージしたファンタジー世界の雰囲気が出てきますね。ドナドナされた牛が入っていそう。

ドナドナされた牛があなたを見つめている
ドナドナされた牛があなたを見つめている

 

装飾物

いわゆるPropsのパーツもたくさんあります。

村で収穫された野菜などを運ぶための荷車もこれだけの種類があります。このアセットには含まれていませんが、牛や馬などの動物にこの荷車を引いてもらうと雰囲気が出ます。

荷車は大事な運搬道具
荷車は大事な運搬道具

 

木を主体とした家を立てていることから、林業も大切な産業です。この雰囲気が出せる丸太や切り株などの装飾物があるので、村から少し離れた場所に配置すると「木こりのおじさんがここで作業しているんだな」とわかります。

丸太や切り株も大事な要素
丸太や切り株も大事な要素

 

村の各家の玄関に配置する灯りのオブジェクトもあります。StreetLampsなので村の道に配置するのがいいかもしれません。パーティクルで灯りを表現したり、ライトを使って灯りを表現したりとユーザー側での工夫が光る場面です。

村の灯り
村の灯り

 

ファンタジー系のゲームに向いている

このアセットは西洋風ファンタジー系の舞台にぴったりで、テーマや世界設定がファンタジーならいろいろなジャンルのゲームに使えます。

RPGの舞台にするなら、Terrainで草原、雪原、荒野などのパーツを準備してその上に家を配置していくことで複数の村を作ることもできます。雪が降っている様子を表現するならパーティクルも組み合わせるとなおよし。砂嵐とか砂が舞っている様子もパーティクルやVFXGraphで表現しちゃうのもいいと思います。

ダンジョン系のアセットはまた別の記事で紹介したいと思っていますが、村とダンジョンがあるだけでも結構ゲームらしさが出てきます。拠点となる村を作って、ダンジョンの奥深くまで進んでいくハクスラ系のゲームも作りやすいです。

 

値段を見ると「結構するなぁ」というのが正直なところですが、これだけの素材を自分で用意するとなると値段以上のコストを支払うことになっちゃうんですよね。元々3Dモデリングが得意な人ならぽんぽんオブジェクトを作っていけると思いますが、これから3Dモデリングを勉強して素材を作っていくとなると……どれだけの時間がかかることか。

普段のお仕事で1日頑張れば稼げるだけの金額で、2、3ヶ月(あるいはそれ以上)の技術習得をすっ飛ばしてこれだけのパーツが手に入るのはゲーム開発者にとって非常に価値のあることではないでしょうか。だって私たちの目的はゲームを作ることなのですからね。

一度購入したら複数のゲームで使っていくことができるので、ゲームを作り続けるほど1プロジェクトあたりの相対的なコストは下がっていきます。

もしあなたがPC向けやハイエンドのゲーム機向けにゲームを作ろうと思っているのなら、このアセットはあなたのゲームに華を添えてくれることでしょう。

 

おまけ

これは私が『Village Exteriors Kit』と『Village Interiors Kit』の両方を買っちゃった後に気付いたのですが、以下の4つのアセットがバンドルされたお得なセットがありました。

  • Village Interiors Kit
  • Village Exteriors Kit
  • Royal Quarters
  • PB Medieval Villages 1

上の4つのアセットは、このページで紹介している『Village Exteriors Kit』を販売している3D Forgeさんがやっているまとめ売りで、普通にこの4つを買うよりお得に買えます。

 

『Village Exteriors Kit』と『Village Interiors Kit』の両方を使う予定があればこのバンドルの方が安く入手できます。どちらか片方を持っている場合は差額でアップグレードできるため、どちらかを使ってみて良さそうなら、このバンドルセットを使ってみるのも良いかもしれません。

……私は『Village Exteriors Kit』と『Village Interiors Kit』の両方を個別に買ってしまうというショッキングなミスをしてしまったので、あなたには同じ過ちはして欲しくないと思い、このバンドルセットもおまけで紹介させてもらいました。

 

それでは今日はこの辺で。

良いUnityライフを!

     

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