【Unity】なかなか環境に恵まれないRPG Maker Uniteちゃん
お久しぶりです。todoです。
前回書いた記事の日付を見たところ、なんと半年以上前。RPG Maker Uniteの発売日が延期されるらしいとの記事で止まっていたので、「RPG Maker Uniteが実際発売されて使ってみたら、その出来に悲しみを覚えてゲーム開発を辞めちゃった人」みたいになっていましたね。
結局発売されたのがGW明けの頃で、前の記事で触れた延期からさらにアセットストアでのトラブルがあっての発売でした。開発期間が伸びる分にはあるあるなので、よくあることと思っていましたが、アセットストア側のトラブルはなかなか見られない珍事でした。
その後、アップデートで改善を行なっていったものの、9月にはUnityの価格改定問題が発生し、Unityを土台にしているRPG Maker Uniteも影響を受けることに。最終的には価格改定問題の中で大きなリスクになっていた、「Unityが自分でカウントしたインストール数で課金します」という部分がなくなり、Unityを使い続けるリスクは軽減したものの、急に土台から揺れるような話が出てきちゃったんですよね。そのため、Unityをガッツリ使っているRPG Maker Uniteにとっては、一緒に沈むかどうかの瀬戸際でもありました。
なかなか環境に恵まれないRPG Maker Uniteですが、コンセプトはとても良いと思うので、多くの人が使いやすいようにぜひ継続してアップデートしていただきたいと願っています。
実際に使ってみた感想は……
GW明け、アセットストアで無事販売開始していたため、購入してみました。私が購入する時には既に厳しいレビューが並んでいたため、買おうと決めていた私にとっても購入するのが躊躇われるほどでしたが、ブログであれだけ取り上げておいて買わないのはいくらなんでもいかんでしょ、というのもあって無事購入しました。
インポートしてみると、待望の以下の画面が表示されました。待ってたぜ。
どうしても容量が大きいのでインポートには時間がかかりましたが、この画面を見た時の感動はひとしおでした。
いつも使っているUnityのエディタ上で作業をするというよりは、専用エディタが開く感じで、RPGツクール感があって良かったです。一番使っていたのはRPGツクール2000だったので、左上のアイコンの並びがなんとなく懐かしさを感じました。
……と、ここまでは良かったのですが、実際に動かしてみるとちょっと気になる部分もありました。エディタ拡張で作られていると聞いていたのですが、コア部分はDLLで実装されているようで、拡張がちょっと難しいような印象でした。また、自分でスクリプトファイルを作って更新すると、コンパイルが走って結構待たされる感じもありました。私は調子に乗ってPCを新調していたので数分以内のコンパイルで済みましたが、当時のTwitter(現X)を見ていると30分くらい待たされたツイートなども見かけたため、初期リリースのパフォーマンスは中々えらいこっちゃでした。RPGツクールを使いたい層を想像するに、開発用途のPCを用意していることは稀で、普段使いのPCで気軽にゲームを作りたい、というユーザが多い中、このパフォーマンスではちょっと辛かったと思います。
また、RPGツクールがUnityを使うメリットとしては、複数プラットフォームへのビルドが挙げられます。スマートフォン向けをはじめ、Nintendo SwitchやPSなど、リリース先が広がるのはとても魅力的でした。個人でリリースするなら、スマートフォン向けという点がよい足掛かりになり得たことでしょう。実際には、ビルドしてみるとデフォルトの状態でも数GBあるため、とてもスマホ向けにはリリースできない状態になっていました。100MBを超えるとインストールを躊躇うユーザが多いスマホ環境で、数GBのゲームをインストールしてくれるのは余程のファンくらいではないでしょうか。ただでさえUnity製のゲームはエンジンコードが容量大きめですから、Unity分とRPG Maker Unite分で容量が大変なことに……。
とまぁ初期の段階では主にパフォーマンスの面で使うには辛い状態になっていましたが、11月時点では数回のアップデートによって改善された部分があるため、今なら使っていけるのかもしれません。……正直にいうと、まだあと数回アップデートしてから使いたいなーなんて思っています。なんなら今回のフィードバックを元に1年くらい開発期間を延長して更新してもらっても文句言いません。
サンプルゲームについて
RPGツクールといえばサンプルゲームも魅力的な部分です。古くはRPGツクールSuper Danteの「FATE」、ツクール2では「だんきちのバクチン大作戦!!」、ツクール3では「ゴブリくんの冒険」などなど、お手本となるサンプルゲームが用意されていました。ツクール2000ではボイス付きのゲームまで入っていたりして、PCだとできることが一気に広がった感じがありました。
今回のRPG Maker Uniteでもサンプルゲームが用意されています。Uniteの公式ページにゲーム本体やプロジェクトファイルのダウンロードリンクがあるので、こちらから試すことができます。
ダウンロードページにあった、
※当プロジェクトファイルはバージョン1.00.00でのみ動作するようになっています。アップデートしてしまった場合は、再度ダウンロードお願いします
という文言が若干不安を煽りますが、もしUniteでゲームを作るならいくつか見ておくとよいかもしれません。
上記文言を見るに、サンプルゲームの作者さんたちはパフォーマンス調整がされていない1.00.00版でゲームを作ったってことですかね……? 初期バージョンに触ってみたいちユーザからすると頭の下がる思いです。あの環境でゲーム完成させるなんて……(拝み)
恵まれない環境
発売後は月1くらいのアップデートが繰り返されたUniteちゃん。だんだんと改善されていく様子を見て安心するユーザも増えた来たかもしれません。アセットストアのレビュー欄では多少ポジティブな意見も増えてきたように見受けられました。
このままうまく浮上していく……と思っていた矢先、9月中旬にUnity側からとんでもない爆弾がぶっ込まれたんですよね。
Unity界隈で大いに盛り上がった(意味深)価格改定問題です。
価格改定自体はしょうがないものと思っていましたが、問題はその課金方法でした。
- 過去12か月間の収益が20万ドル以上
- 生存期間中インストール数が20万件以上
の両方の条件を満たした時に、1インストールあたり0.2ドル(当時のレートで約30円)の課金が発生するというものです。ユーザがインストールしたら課金、というのも私はあまり聞いたことがありませんでしたが、問題はそのカウント方法でした。「Unity側が独自の計測方法でカウントし、それを元に請求書を送ります」となっていて、Unityを使っている開発者にとっては危険な取り決めになっていたんです。
そもそもどうやって数字をカウントするのかが不明瞭で、フォーラムの情報によるとUnity内部のエンジニアの話では「そんな方法はない」とまで言われているようでした。GDPRの関係もあり、ユーザに提示せず情報収集することはないはずなのですが、もし計測するならスパイウェアでも仕込んでサイレントUnityに送信するしかないのでは? という疑惑も出ていました。そういえば2022年には某企業を買収していましたが、その会社はマルウェアを作っていたことがあるなんて噂も出ていて、Unity側のカウント方法を鵜呑みにするのは非常に難しい状況でした。
そういった点からUnityに対する不信感が紛糾していました。UnityをベースにしているRPG Maker Uniteにとっても、土台から揺らぐ話になってしまい、使っているユーザ、これから使おうとするユーザにとってはちょっと怖いという気持ちが生まれたように思います。
料金体系は改善
最終的には、インストール数に応じた課金は残ったものの、Unity側の謎カウントで課金されることはなくなり、開発者が独自に集計し、それを元に支払ってください、という形になったので、ひとまずは落ち着いたように思います。また、Personalライセンスでも起動時のUnityのスプラッシュスクリーンを消せたり、Personalライセンスならインストール数に応じた課金はなくなったりと、Personalライセンスを使っているユーザにとっては使いやすくなっています。
RPG Maker Uniteを使うメイン層を考えると、自分でコーディングせずにRPGを作りたいユーザがターゲットになっているかと思いますので、そうしたユーザならPersonalライセンスを使うことが多いかもしれません。そういった意味では最終的にプラスに転じたようにも思います。
これからの改善が楽しみ
元々Unityのアセットストアでの販売は先行販売だったので、各種フィードバックを受けて改善していくものと思われます。Steam版が出る頃にはだいぶ改善されているんじゃないでしょうか。してるといいな。
RPGツクールの手軽さと、Unityのビルドシステムの相乗効果を狙うコンセプトはとても良いと思うので、ぜひ進化を続けていってほしいと願っています。
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